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解説メキシコ

メキシコの街ごとの干ばつの確かめ方

執筆 編集部

地図と街区模型を俯瞰してエリアを比較するイラスト
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メキシコで物件を持つと、電気代と並んで気になるのが水です。雨が少ない年には、街の水道局が給水の時間を区切ったり、給水車で配ったりすることがあります。その街が今どのくらい乾いているか、過去にどのくらいの頻度で干ばつになったかは、水の当局(CONAGUA)の国家気象局(SMN)が月2回公表する「メキシコ干ばつモニター(Monitor de Sequía en México)」で、市(municipio)ごとに確かめられます。

この記事では、モニターの区分の意味、外国人がよく買う20の市の直近の状況と過去の推移、公開のExcelの使い方を説明します。数字は2026年10月6日に取得したファイル(2026年9月15日時点までの判定)から編集部が集計しました。

干ばつの区分の意味

モニターは、米国・カナダ・メキシコの3か国で共通の「北米干ばつモニター(NADM)」の区分を使います。雨の不足を示す標準化降水指数(SPI)、衛星で見た植生の状態、土の湿り気の推計、ダムの貯水率、地元の専門家の意見を重ねて、専門家の合意で区分を決めます。

区分スペイン語の名称意味統計上の目安
なしSin sequía干ばつではない―
D0Anormalmente seco(異常乾燥)干ばつに入りかけ、または干ばつから回復しつつある状態乾き方が過去の下位20〜30%
D1Sequía moderada(中程度の干ばつ)作物や牧草に被害が出始め、水の使用の自粛が求められることがある下位10〜20%
D2Sequía severa(深刻な干ばつ)水不足が一般的になり、使用の制限が課されることがある下位5〜10%
D3Sequía extrema(極端な干ばつ)広い範囲で作物の損失と水不足下位2〜5%
D4Sequía excepcional(例外的な干ばつ)例外的で広範な水不足。貯水池や井戸の水が尽きて非常事態になる下位2%

「統計上の目安」は、その土地の過去の記録と比べて、どのくらい珍しい乾き方かを示す百分位です。

読むときに知っておきたい決まりが2つあります。市の区分は、2016年以降、市の中で観測された最も重い区分が割り当てられます(2003〜2015年は市の面積の40%以上を占める区分)。広い市では、海沿いの街なかが乾いていなくても、内陸の一部が乾いていれば重い区分になることがあります。もう1つは頻度で、2014年2月以降は毎月15日と月末の2回、判定が出ます。

主な街の状況(2026年9月15日時点)

市(州)9月15日の区分直近1年で D1 以上(24回中)2024年に D1 以上(24回中)2025年に D1 以上(24回中)2016年以降で最も重い区分(時期)
カンクン=ベニート・フアレス市(キンタナ・ロー州)D18回0回9回D2(2020年4月、2025年8〜9月)
プラヤデルカルメン=ソリダリダ市(同)D18回7回9回D2(2020年4月、2025年9〜10月)
トゥルム市(同)D17回7回6回D2(2019年9〜10月、2020年4月)
プエルト・モレロス市(同)D14回2回1回D2(2019年8〜12月、2020年4〜5月)
コスメル市(同)D18回0回7回D2(2025年9〜10月)
イスラ・ムヘーレス市(同)D112回0回10回D2(2020年4月、2025年8〜9月)
メリダ市(ユカタン州)なし0回9回0回D2(2016年11月)
ロスカボス市(バハ・カリフォルニア・スル州)なし0回0回2回D2(2021年4〜6月)
ラパス市(同)なし0回5回14回D2(2021年4〜6月)
プエルト・バジャルタ市(ハリスコ州)なし0回4回0回D2(2021年5月、2023年4〜6月)
マサトラン市(シナロア州)なし0回24回12回D4(2024年1月、2025年2〜6月)
サンミゲル・デ・アジェンデ市(グアナフアト州)なし0回17回9回D4(2024年4〜7月)
ケレタロ市(ケレタロ州)なし0回17回9回D4(2024年5〜8月)
グアダラハラ市(ハリスコ州)なし0回11回0回D3(2023年6〜9月)
モンテレイ市(ヌエボ・レオン州)D00回4回0回D2(2020年12月〜2021年6月、2023年9月)
メキシコシティ クアウテモック区なし0回11回0回D2(2024年1〜6月)
ティフアナ市(バハ・カリフォルニア州)D04回1回21回D3(2016年、2025年1〜3月)
エンセナダ市(同)D00回3回17回D3(2016年、2022年5〜7月、2025年1〜3月)
プラヤス・デ・ロサリート市(同)D04回1回21回D3(2016年、2025年1〜3月)
アカプルコ市(ゲレロ州)D00回9回0回D3(2024年7月)

出典:CONAGUA SMN「MunicipiosSequia.xlsx」(2026年10月6日取得)を編集部が集計。「直近1年」は2025年9月30日から2026年9月15日までの24回の判定。メキシコシティは区(alcaldía)ごとの判定で、表は中心部のクアウテモック区。

表から読み取れることを3つ挙げます。

キンタナ・ロー州の海沿いは、2025年の夏から乾いた状態が続いています。 カンクン、プラヤデルカルメン、トゥルム、コスメル、イスラ・ムヘーレスは2025年8〜10月にD2まで進み、いったん回復した後、2026年7月以降はD1が続いています。この地域の水道は地下水(石灰岩の地層にたまった水)に頼るため、ダムの貯水率のような分かりやすい数字がなく、モニターの区分が乾き方を知る数少ない手がかりになります。

高原の街は2024年に最も重い区分を経験しました。 サンミゲル・デ・アジェンデ市とケレタロ市は2024年4〜8月にD4、メキシコシティの中心区は同年1〜6月にD2でした。2026年9月時点ではいずれも「なし」ですが、数年に一度はこの規模の干ばつが来る前提で、物件の貯水の設備を見ておくと安心です。

バハ・カリフォルニア州の国境の街は、冬に乾きます。 ティフアナ、エンセナダ、ロサリートは2025年1〜3月にD3でした。雨が冬に集中する地中海性の気候で、乾くのも冬です。ロスカボスとラパスは2021年にD2がありましたが、直近2年は軽い区分にとどまっています。

干ばつの区分と、実際の給水は別

区分はあくまで気象上の判定です。水道が止まるかどうかは、その街の水源と設備で決まります。

街主な水源の特徴物件で確かめること
カンクン、プラヤデルカルメン、トゥルム、メリダ地下水。雨の不足は地下水の塩分や水位に遅れて出る水道の契約の名義、屋上の貯水タンク(tinaco)と地下の貯水槽(cisterna)の容量、ポンプ。浄化槽の物件は街ごとの水道・下水・住宅の設備を参照
ロスカボス、ラパス乾燥地。市の水道のほか、建物ごとの海水の淡水化設備や給水車水をどこから引いているか、給水車を使う場合の費用(ロスカボスの見方)
サンミゲル・デ・アジェンデ、ケレタロ高原。市の水道と井戸市の水道か井戸か、水圧、乾季の給水の時間(サンミゲル・デ・アジェンデの見方)
モンテレイ、メキシコシティダムと遠方からの導水干ばつの年の給水制限の履歴、建物の貯水槽の容量(モンテレイの見方)

INEGIの2025年中間国勢調査では、カンクン市の住宅の95.6%に屋上の貯水タンクがあり、メキシコシティの中心区では地下の貯水槽が9割前後の住宅にあります。貯水の設備がどのくらい一般的かは街ごとに違うので、同じ記事の表で確かめてから、物件の容量を見るのが順序です。

雨の少なさは、ハリケーンや浸水とは逆の方向のリスクです。海沿いの物件では両方を見ます(メキシコのハリケーンと地震の保険)。

自分で確かめる方法

確かめることどこで
市ごとの最新の区分CONAGUA SMN の「Monitor de Sequía en México」のページ → 「Descargar Archivo de Municipios」で Excel をダウンロード。シート「MUNICIPIOS」の右端の列が最新の判定
市を探す列「NOMBRE_MUN」で市の名前、「ENTIDAD」で州を絞る。カンクンは「Benito Juárez」(キンタナ・ロー州)、プラヤデルカルメンは「Solidaridad」。市の番号(CVE_CONCATENADA)はカンクン23005、トゥルム23009、ロスカボス03008、メリダ31050
過去の推移同じ行を左にたどる。2003年1月から月1回、2014年2月から月2回の判定が並ぶ。空欄は「干ばつなし」
区分の決め方同じページの「Metodología del MSM」の節。シート「NOTAS」に2016年の割り当ての変更と、市の追加の注記
全国の地図と要約同じページの最新の報告(Reporte)。州と流域ごとの面積の割合の表がある
英語で見る北米干ばつモニター(droughtmonitor.unl.edu/NADM)。メキシコの月末の判定が3か国の地図に載る
給水の制限各市の水道局(カンクンはAguakan、メリダはJAPAY、ロスカボスはOOMSAPAS、モンテレイはSADM、メキシコシティはSACMEX)の案内。制限の有無と時間帯は水道局ごとに公表の形が違う

Excelは約2MBで、2,478市×約440列あります。表計算ソフトで開き、市の名前で検索するのが早い方法です。

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この記事の市別の数字は、CONAGUA SMN が公開する市ごとの干ばつ区分の Excel(2026年10月6日取得、2026年9月15日時点までの判定)を編集部が数えたものです。区分の定義は北米干ばつモニターの説明に従いました。モニターは気象上の判定で、個々の物件の給水を約束するものではありません。

よくある質問

干ばつの区分がD1やD2の街の物件は、水が止まりますか?

区分は雨の不足や土の乾き、ダムの貯水を総合した気象上の判定で、水道が止まるかどうかを直接示すものではありません。実際の給水は、その街の水源(地下水、ダム、海水の淡水化)と水道局の設備で決まります。区分は「水の供給が厳しくなりやすい時期かどうか」の目安として使い、物件ごとの貯水の設備と水道局の給水の案内を合わせて確かめます。

2024年の干ばつはどのくらい広かったのですか?

CONAGUAのExcelを集計すると、2024年5月31日時点で全国2,478の市のうち、中程度以上(D1以上)の干ばつが2,187市、最も重い区分(D4)が281市でした。サンミゲル・デ・アジェンデ市とケレタロ市はこの時期にD4、メキシコシティの中心区はD2でした。2026年9月15日時点ではD1以上が461市、D3とD4はありません。

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補足情報

メキシコの水の当局(CONAGUA)の気象局は、月2回、全国2,478の市ごとに干ばつの区分(D0〜D4)を公表しています。2026年9月15日時点で、カンクン、プラヤデルカルメン、トゥルムなどキンタナ・ロー州の市は「中程度の干ばつ(D1)」、メリダ、ロスカボス、サンミゲル・デ・アジェンデは「干ばつなし」でした。2024年前半には全国の市の9割近くが干ばつの区分に入っています。市ごとの区分と過去の推移を、公開のExcelで確かめる方法を説明します。

出典・参考

  1. CONAGUA 国家気象局(SMN)「Monitor de Sequía en México」(干ばつモニターの説明ページ。区分、方法、公表の頻度、市ごとのExcelへのリンク)(2026-10-06 参照)
  2. CONAGUA SMN「MunicipiosSequia.xlsx」(全市の干ばつ区分、2003年1月〜2026年9月15日。本文の市別の数字と全国の市の数はこのファイルから編集部が集計)(2026-10-06 参照)
  3. North American Drought Monitor / U.S. Drought Monitor「Drought Classification」(D0〜D4の区分の定義。メキシコのモニターも同じ区分を使う)(2026-10-06 参照)
  4. INEGI「Tabulados de la Encuesta Intercensal 2025 — Vivienda」キンタナ・ロー州(貯水タンク・貯水槽の普及率の確認に使用)(2026-10-06 参照)