タイのコンド価格指数の読み方(REICと中央銀行)
執筆 編集部

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タイのコンドの価格が上がっているのか下がっているのかを、公的な数字で確かめたいとき、使える指数は2つあります。1つは政府系住宅銀行(GHバンク)の不動産情報センター(REIC)が四半期ごとに公表する「売り出し中の新築コンドの価格指数」、もう1つはタイ中央銀行(BOT)が毎月公表する「住宅価格指数」のコンドの系列です。測り方が違うため、同じ時期でも動きが違って見えます。
2つの指数が測っているもの
| 項目 | REIC 新築コンド価格指数 | 中央銀行(BOT)住宅価格指数のコンド |
|---|---|---|
| 何の価格か | 売り出し中の新築プロジェクトの販売価格。売れ残りが6戸以上あるプロジェクトが対象で、中古は含まない | 住宅ローンが付いた取引の価格。新築・中古を問わない |
| 値引きの扱い | 広告の価格から販促(家具や家電の付属、移転登記の手数料の負担、現金の値引き)の分を差し引いた「実際の販売価格」 | ローンの申込みに使われた取引の価格 |
| 対象地域 | バンコク、ノンタブリー県、サムットプラカーン県 | 全国。バンコクと周辺県(首都圏)の系列がある |
| 基準 | 2012年=100 | 2011年=100 |
| 作り方 | 意図的に選んだ標本のプロジェクトの価格を追う | 面積、場所、階、築年、売り手の種類などの違いを統計的にそろえる方法(ヘドニック回帰)。3か月の移動平均 |
| データの出どころ | REICの調査 | 商業銀行と政府系金融機関が報告する住宅ローンのデータ |
| 頻度 | 四半期。四半期が終わった翌月の上旬に公表することが多い | 月次。翌月末の営業日に公表 |
REICの指数は「開発会社が今いくらで売っているか」、中央銀行の指数は「ローンを組んで買われた部屋がいくらだったか」を映します。新築の値引きが増えれば前者は下がりやすく、郊外の安い部屋の取引が増えれば後者は下がりやすい、という違いがあります。
REICの新築コンド価格指数の推移
| 四半期 | 指数(2012年=100) | 前年同期比 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 2024年10〜12月期 | 159.9 | +3.6% | ― |
| 2025年4〜6月期 | 159.1 | +1.4% | ― |
| 2025年7〜9月期 | 158.3 | −0.5% | −0.5% |
| 2025年10〜12月期 | 159.2 | −0.4% | +0.6% |
| 2026年1〜3月期 | 160.7 | +0.2% | +0.9% |
| 2026年4〜6月期 | 161.7 | +1.6% | +0.6% |
出典:REICの各四半期の公開ページ。「―」は公開ページに記載がないもの。
2024年末まで続いた3%台の上昇は、2025年後半にいったん止まり、2026年に入って再び上向いています。REICは2024年10〜12月期の公表で、上昇の理由を鉄道の駅の周辺の土地代と建築費の上昇とし、バンコクでは301万〜500万バーツの価格帯のホアイクワン・チャトゥチャック・ディンデーン地区、周辺県では201万〜300万バーツの価格帯のサムットプラカーン・プラプラデーン・プラサムットチェディ地区の上昇が大きかったと説明しています。同じ期に現金の値引きをしたプロジェクトは25.2%でした。
指数は全体の動きで、建物や価格帯によって方向が違います。地区別・価格帯別の表は四半期の報告書(PDF)に載り、ダウンロードには会員登録が要ります。
中央銀行の住宅価格指数(2026年3〜8月)
| 系列(2011年=100) | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コンド(バンコクと周辺県) | 204.4 | 203.2 | 204.1 | 204.1 | 204.4 | 204.4 |
| 住宅全体(バンコクと周辺県) | 171.0 | 170.9 | 171.6 | 171.7 | 173.0 | 173.5 |
| 住宅全体(全国) | 177.1 | 177.1 | 178.0 | 178.5 | 179.2 | 179.5 |
| 戸建て・土地込み(バンコクと周辺県) | 142.0 | 141.7 | 141.7 | 140.9 | 142.4 | 143.2 |
| タウンハウス・土地込み(バンコクと周辺県) | 175.3 | 176.3 | 176.8 | 176.9 | 178.0 | 177.9 |
出典:タイ中央銀行 統計「EC_EI_008_S4」(2026年9月30日更新)。
コンドの指数は2011年から約2倍で、戸建て(約1.4倍)やタウンハウス(約1.8倍)より上昇が大きい系列です。2026年は3〜8月を通じて204前後で横ばいでした。中央銀行の注記にあるとおり、指数は3か月の移動平均なので、月ごとの動きは実際より滑らかに見えます。前年同月比を見るには、サイトで期間を1年以上に広げて表示します。
パタヤを含む東部3県(EEC)のコンド指数
REICは、チョンブリー県(パタヤを含む)、ラヨーン県、チャチューンサオ県の3県についても別の指数を公表しています。2026年4〜6月期は全体で103.1、前年同期比+0.5%、前期比+1.2%でした。
| 県 | 指数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| EEC 3県の合計 | 103.1 | +0.5% |
| チョンブリー県 | 102.9 | +0.5% |
| ラヨーン県 | 111.9 | 0.0% |
| チャチューンサオ県 | 103.8 | −0.2% |
出典:REIC プレスリリース(2026年8月17日)。基準年は公表ページに記載がなく、確認中。REICは上昇の理由を建築資材、人件費、土地代の上昇としています。
読むときの注意(編集部)
- 指数は個々の部屋の価格ではありません。 同じバンコクでも、駅からの距離、築年、開発会社のグレードで動きが違います。持っている部屋や買いたい部屋の価格は、同じ建物か近くの建物の最近の成約で確かめます。中古の売り出しと移転登記の統計はタイの中古住宅市場の統計の読み方にまとめています。
- 現金で買う外国人の取引は、中央銀行の指数にはほとんど入りません。 外国人の購入の件数と金額は、土地局の移転登記から別に集計されます(タイの外国人のコンド移転登記統計の読み方)。
- 新築の指数は、売れ残りがあるプロジェクトの価格です。 売れ残りが多い時期は値引きが増え、指数の伸びが抑えられます。在庫の厚さはバンコク首都圏のコンド販売、4〜6月期は19.5%増で、コンドの売り切りまでの月数(約39か月)とあわせて見てください。
- REICの「住宅市場の総合指数」は価格の指数ではありません。 2026年4〜6月期に90.3(2024年=100、前年同期比+13.3%)と公表された指数は、販売・移転登記・新規供給などをまとめた市場の活動の指数です。価格の指数と混同しないよう、名前(ดัชนีรวมตลาด=総合市場指数)を確かめます。
自分で確かめる方法
| 確かめること | どこで |
|---|---|
| REICの新築コンド価格指数 | REICのサイト → 「บทวิเคราะห์(分析)」→「ดัชนีราคาและดัชนีอื่นๆ(価格指数とその他の指数)」→「ดัชนีราคาห้องชุดใหม่ที่อยู่ระหว่างการขาย กรุงเทพฯ-ปริมณฑล」。各四半期のページに指数と前年比・前期比。PDFは会員登録後 |
| EECの指数 | 同じ一覧の「ดัชนีราคาที่อยู่อาศัยที่อยู่ระหว่างการขาย ใน 3 จังหวัด EEC」か、プレスリリースの一覧 |
| 中央銀行の指数 | 中央銀行の統計サイト(app.bot.or.th)で表「EC_EI_008_S4 Residential Property Price Index」。期間を選んで表示。作り方は同じページの「Metadata」のPDF |
| 公表の予定 | REICは四半期が終わった翌月の上旬が多い(2025年10〜12月期は2026年2月下旬、2026年1〜3月期は4月上旬、4〜6月期は7月上旬)。中央銀行は翌月末の営業日 |
| 指数の読み替え | 指数は基準年を100とした比率。161.7なら2012年の価格の1.617倍。異なる基準年の指数どうしの水準は比べない |
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REICの指数の作り方は、同センターが公開している戸建て指数の報告書の説明(売れ残り6戸以上、販促分を差し引いた価格、2012年=100、意図的な標本抽出)を参照し、コンド指数の対象地域は2024年10〜12月期のプレスリリースの内訳(バンコク、サムットプラカーン県、ノンタブリー県)で確認しました。コンド指数の四半期ごとの標本数は公開ページに記載がありません。
よくある質問
指数が上がっていれば、持っているコンドも値上がりしていますか?
そうとは限りません。REICの指数は新築の売り出し価格から、中央銀行の指数は住宅ローンが付いた取引から作られ、どちらも個々の部屋の価格ではありません。中古の部屋の価格は、同じ建物か近くの建物の最近の成約と、売り出し中の物件の数を見て判断します。中古の統計は別の記事で説明しています。
外国人の買い手の取引は指数に入っていますか?
中央銀行の指数は住宅ローンのデータから作られるため、現金で買う外国人の取引はほとんど入りません。REICの新築指数は開発会社の売り出し価格をもとにするので、買い手が誰かは関係ありません。外国人の購入の動きは、土地局の移転登記の統計で別に数えられています。
指数の詳しい内訳はどこで見られますか?
REICの四半期の報告書(PDF)は、同センターのサイトで会員登録(ログイン)をするとダウンロードできます。公開ページには全体の指数と前年比・前期比だけが載ります。中央銀行の指数は登録なしで、月次の表をサイトで見られます。
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補足情報
タイのコンドの価格の動きを示す公的な指数は2つあります。政府系住宅銀行の不動産情報センター(REIC)が四半期ごとに出す新築コンドの価格指数は、2026年4〜6月期に161.7(2012年=100)で前年同期比1.6%上昇。中央銀行(BOT)が住宅ローンのデータから毎月作る指数は、2026年8月にバンコク首都圏のコンドが204.4(2011年=100)でした。2つの指数が何を測り、どこが違うか、自分で確かめる方法を説明します。
出典・参考
- REIC「ดัชนีราคาห้องชุดใหม่ที่อยู่ระหว่างการขาย ไตรมาส 2 ปี 2569 ในกรุงเทพฯ – ปริมณฑล」(新築コンド価格指数 2026年4〜6月期、2026年7月7日公表。指数161.7、前年同期比+1.6%、前期比+0.6%)(2026-10-06 参照)
- REIC 同 2026年1〜3月期(2026年4月9日。160.7、+0.2%、+0.9%)(2026-10-06 参照)
- REIC 同 2025年10〜12月期(2026年2月23日。159.2、−0.4%、+0.6%)(2026-10-06 参照)
- REIC 同 2025年7〜9月期(2025年10月7日。158.3、−0.5%、−0.5%)(2026-10-06 参照)
- REIC 同 2025年4〜6月期(2025年7月7日。159.1、+1.4%)(2026-10-06 参照)
- REIC プレスリリース「REIC เผยราคาที่อยู่อาศัยไตรมาส 4 ปี 2567 ในพื้นที่เมืองและตามแนวรถไฟฟ้าเพิ่มสูงขึ้นต่อเนื่อง」(2025年2月6日。2024年10〜12月期の指数159.9、バンコクと周辺県の内訳、価格帯別の記述、値引きの割合)(2026-10-06 参照)
- REIC Research Report「ดัชนีราคาบ้านจัดสรรใหม่ที่อยู่ระหว่างการขาย」(指数の作り方の説明:売れ残り6戸以上のプロジェクト、販促分を差し引いた価格、2012年=100、意図的な標本抽出)(2026-10-06 参照)
- REIC プレスリリース「ดัชนีราคาห้องชุดในพื้นที่ EEC ไตรมาส 2 ปี 2569」(2026年8月17日。EECのコンド指数103.1、県別の内訳)(2026-10-06 参照)
- REIC「ดัชนีรวมตลาดอสังหาริมทรัพย์ (หมวดที่อยู่อาศัย) ของประเทศไทย ไตรมาส 2 ปี 2569」(2026年9月28日。住宅市場の総合指数90.3、2024年=100)(2026-10-06 参照)
- タイ中央銀行(BOT)統計「EC_EI_008_S4 Residential Property Price Index」(2026年9月30日更新。2026年3〜8月の月次の指数、2011年=100)(2026-10-06 参照)
- タイ中央銀行 同 Metadata(作り方:商業銀行と政府系金融機関の住宅ローンのデータ、ヘドニック回帰、3か月移動平均、翌月末の営業日に公表)(2026-10-06 参照)