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解説タイ

タイの「中古住宅市場」の統計の読み方

執筆 編集部

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結論

  • タイの中古住宅の公的な統計は、不動産情報センター(REIC)が四半期ごとに公表する「全国の中古住宅市場の状況」です。不動産ポータル、銀行・資産管理会社の担保物件、法務執行局の競売物件の売り出し情報を集めた「供給」と、土地局の移転登記のうち中古の分を集計した「需要」の2つの面で見ます。
  • 2026年4〜6月期の売り出し中の中古は全国で19万5,941戸(前年同期比6.1%増)、売り出し価格の合計は9,412億1,800万バーツ(24.9%増)。金額の伸びが戸数の伸びを大きく上回り、1,000万バーツ超の売り出しが戸数で32.4%増えました。
  • 中古の移転登記は6万2,343戸(24.0%増)、1,245億1,400万バーツ(22.9%増)。バンコク首都圏が戸数の42.3%を占め、35.0%増。種類別では中古コンドが1万6,386戸で39.4%増と最も伸びました。
  • 価格帯別では150万〜500万バーツの登記が25〜30%増と伸び、750万〜1,000万バーツは戸数・金額とも減少。1,000万バーツ超は戸数が1.3%減る一方、金額は10.9%増えました。
  • この統計で分かるのは「どの地域・種類・価格帯で中古がどれだけ売りに出て、どれだけ名義が変わったか」までです。売り出し価格は売り手の希望価格で、成約価格ではありません。同じ部屋の価格の変化を示す指数ではないことに注意して読みます。

この統計が数えているもの

REICは、中古の「供給」と「需要」を別々の元データから作っています。

供給(売り出し中の累計)は、四半期末の時点で売りに出ている中古住宅の戸数と、売り出し価格の合計です。元データは、不動産の売り出しサイト、国有・民間の金融機関の担保物件、国有・民間の資産管理会社の物件、法務執行局の競売物件(REICが運営する中古住宅サイト taladnudbaan.com に掲載されるもの)です。売り手の種類ごとに集計されるため、個人・仲介会社の売り出しと、競売・担保物件の売り出しを分けて見られます。

需要(移転登記)は、土地局の移転登記のデータのうち中古の分です。REICは全国の住宅の移転登記(新築と中古の合計)も別に公表しており、2026年4〜6月期は9万5,082戸でした。中古の6万2,343戸はその約66%にあたります(編集部の計算)。コンドに限ると、全体の3万2,204戸に対して中古が1万6,386戸で約51%です。タイで名義が変わる住宅の半分以上は中古だということになります。

いずれも全国と7つの地域(バンコク首都圏、東部、南部、北部、東北部、西部、中部)、上位10県、住宅の種類、価格帯で集計されます。

売り出し中の中古(2026年4〜6月期末)

地域別

地域戸数前年同期比戸数の割合金額(百万バーツ)前年同期比
バンコク首都圏9万4,587戸10.6%増48.3%67万3,65536.9%増
東部2万2,489戸12.0%増11.5%6万6,8143.4%増
東北部2万8,908戸6.0%増14.8%5万7,20218.7%増
北部1万9,938戸0.7%減10.2%5万1,47612.7%減
南部1万7,375戸5.9%減8.9%5万8,4676.1%増
西部7,353戸9.2%減3.8%2万3,0649.3%減
中部5,291戸1.5%増2.7%1万53914.8%増
全国19万5,941戸6.1%増100%94万1,21824.9%増

バンコク首都圏は戸数の48.3%、金額の71.6%を占めます。金額の割合が戸数の割合より大きいのは、1戸あたりの売り出し価格が高いためです。

県別(売り出しの金額の上位10県)

県戸数前年同期比売り出し価格の平均(1戸あたり)前年同期の平均
バンコク都5万5,412戸29.4%増940万バーツ800万バーツ
ノンタブリー1万3,764戸3.5%増420万バーツ380万バーツ
サムットプラカン9,517戸11.7%減510万バーツ460万バーツ
チョンブリー1万739戸1.0%減390万バーツ410万バーツ
パトゥムターニー1万1,407戸9.5%減270万バーツ240万バーツ
プーケット2,650戸21.1%増930万バーツ850万バーツ
チェンマイ5,091戸11.3%減480万バーツ560万バーツ
ナコンラチャシマ4,464戸59.7%増310万バーツ260万バーツ
ラヨーン6,206戸40.0%増200万バーツ210万バーツ
スラートターニー3,410戸16.6%減270万バーツ300万バーツ
全国19万5,941戸6.1%増480万バーツ410万バーツ

バンコク都の売り出しは戸数で29.4%、金額で51.8%増え、1戸あたりの売り出し価格の平均は800万バーツから940万バーツに上がりました。平均が上がった主な理由は、1,000万バーツ超の物件の売り出しが増えたことで、同じ部屋の価格が上がったことを示す数字ではありません。プーケットは戸数が21.1%増え、平均は930万バーツとバンコクに近い水準です。チェンマイは戸数・金額とも減りました。

種類別・価格帯別・売り手別

種類戸数前年同期比金額(百万バーツ)前年同期比
戸建て8万3,269戸1.8%増48万7,47914.8%増
コンド4万9,199戸25.2%増28万5,12967.8%増
タウンハウス5万4,757戸0.8%減12万8,5387.6%増
商業ビル(店舗つき住宅)5,760戸6.3%増3万1,1883.5%増
半戸建て2,956戸2.5%減8,8833.9%減

中古コンドの売り出しは戸数で25.2%、金額で67.8%増え、全種類の中で最も伸びました。金額の伸びが戸数の伸びを大きく上回るのは、高い価格のコンドの売り出しが増えたためです。

価格帯別では、100万バーツ以下の売り出しが4万6,151戸(9.9%減)と減る一方、1,000万バーツ超は1万6,290戸(32.4%増)、750万超〜1,000万バーツは6,457戸(19.4%増)と増えました。1,000万バーツ超の売り出しは戸数では全体の8.3%ですが、金額では54.2%を占めます。

売り手別では、個人と仲介会社の売り出しが7万542戸(36.0%)で金額の70.8%を占めます。法務執行局(競売)は6万1,646戸(31.5%)で6.1%減。資産管理会社が2万2,846戸、特定金融機関が2万7,475戸(22.3%増)、商業銀行が1万3,432戸で、商業銀行の売り出しは前年同期の2.2倍(122.9%増)に増えました。REICはこれを「市場の構造の変化として最も重要な兆し」と書いています。銀行が担保物件を自ら売りに出す動きが強まっている、という読み方です。

中古の移転登記(2026年4〜6月期)

地域別・県別

地域戸数前年同期比金額(百万バーツ)前年同期比
バンコク首都圏2万6,388戸35.0%増5万9,00329.4%増
東部9,308戸22.2%増1万8,86822.8%増
南部7,308戸11.0%増1万5,51210.6%増
北部7,007戸14.0%増1万1,67611.8%増
東北部7,476戸14.7%増1万1,41620.8%増
西部2,685戸19.7%増5,01226.5%増
中部2,171戸32.4%増3,02623.7%増
全国6万2,343戸24.0%増12万4,51422.9%増

県別では、バンコク都が1万3,910戸(38.7%増)・382億9,500万バーツ(33.8%増)で、全国の戸数の22.3%、金額の30.8%を占めます。チョンブリー5,394戸(21.3%増)、パトゥムターニー3,609戸(38.9%増)、サムットプラカン3,480戸(33.7%増)、ノンタブリー3,334戸(26.9%増)が続きます。プーケットは1,905戸で4.8%増、金額は6.3%増と、上位10県の中で最も伸びが小さく、REICは「減速の兆し」と書いています。チェンマイは2,544戸(15.8%増)でした。

種類別・価格帯別

種類戸数前年同期比戸数の割合金額(百万バーツ)前年同期比
戸建て2万4,860戸16.8%増39.9%5万5,92018.9%増
コンド1万6,386戸39.4%増26.3%2万8,18841.0%増
タウンハウス1万3,808戸24.0%増22.1%2万2,65722.7%増
商業ビル(店舗つき住宅)5,192戸18.0%増8.3%1万2,7958.6%増
半戸建て2,097戸22.0%増3.4%4,95322.3%増
価格帯戸数前年同期比戸数の割合金額の前年同期比
100万バーツ以下2万1,706戸23.0%増34.8%22.6%増
100万超〜150万バーツ1万189戸19.4%増16.3%18.7%増
150万超〜200万バーツ9,639戸25.9%増15.5%25.9%増
200万超〜300万バーツ1万1,865戸29.7%増19.0%29.9%増
300万超〜500万バーツ6,191戸27.6%増9.9%27.7%増
500万超〜750万バーツ1,769戸21.9%増2.8%21.8%増
750万超〜1,000万バーツ389戸1.3%減0.6%1.0%減
1,000万バーツ超595戸1.3%減1.0%10.9%増

中古の登記の戸数の34.8%は100万バーツ以下で、500万バーツ以下が全体の約96%を占めます。外国人が検討することの多い750万バーツ超の中古の登記は、4〜6月期に全国で984戸でした。1,000万バーツ超は戸数が減りながら金額が10.9%増えており、1戸あたりの金額が大きい取引に偏った形です。

読むときの注意(編集部)

  1. 売り出し価格は成約価格ではありません。「売り出し中の累計」の金額は売り手の希望価格の合計で、値引きして成約した額や、売れずに取り下げられた物件は反映されません。バンコクの平均940万バーツは「売りに出ている中古の希望価格の平均」です。
  2. 売り出しが増えることは、売れていることと同じではありません。中古コンドは売り出しが25.2%増、登記が39.4%増と両方伸びましたが、売り出しの金額の伸び(67.8%)は登記の金額の伸び(41.0%)より大きく、高い価格で売りに出た部屋が同じ割合で売れたとは言えません。
  3. この統計には同じ部屋の価格の変化を示す指数がありません。価格帯別の構成が変わると平均は動きます。「中古の価格が上がった」と読むには、同じ建物の過去の成約と比べる必要があります。
  4. 競売・担保物件が戸数の約6割(法務執行局・資産管理会社・銀行・特定金融機関の合計)を占めます。売り出し件数が多いエリアは、競売物件が多いだけのこともあります。売り手別の表を見分けます。
  5. 中古の登記の増加は、国内の住宅ローンの政策の影響を受けています。増えた価格帯は750万バーツ以下に集中し、REICは全国の住宅市場の公表で、登記手数料の軽減策と住宅ローンの貸出比率(LTV)の緩和を増加の要因に挙げています。現金で買うことの多い外国人の動きとは分けて読みます(タイ全国の住宅の移転登記、2026年4〜6月期は22.9%増)。
  6. 「中古」の中身は種類が混ざっています。戸建てとタウンハウスで登記の62%を占め、コンドは26.3%です。外国人が買えるのは原則としてコンドなので、コンドの行だけを取り出して見ます。

自分で確かめる方法

  1. REICのサイト(reic.or.th)の「Press Release」一覧で、「สถานการณ์ตลาดที่อยู่อาศัยมือสองทั่วประเทศ」(全国の中古住宅市場の状況)の最新の四半期を開きます。公表は四半期末から約2か月後で、4〜6月期分は9月8日に出ました。ページの下の「Download PDF」で表つきの全文が取れます。
  2. PDFの表1〜5が売り出し中の中古(地域別・県別・種類別・価格帯別・売り手別)、表6〜9が中古の移転登記(地域別・県別・種類別・価格帯別)です。検討している県が上位10県に入っていれば、戸数と前年同期比を確かめられます。
  3. 売り出しの元データの一つである中古住宅サイト(taladnudbaan.com)では、競売物件や金融機関の担保物件を県・種類・価格帯で検索できます。同じエリアで競売物件がどれだけ出ているかの目安になります。
  4. 同じ建物の成約価格は、この統計では分かりません。管理組織(ジュリスティック・パーソン)の資料や、現地の仲介会社の成約事例、土地事務所での登記の確認で個別に確かめます(タイの中古コンドを買うときの見方)。
  5. 業者の資料に「中古の需要が○%増」とあれば、全国か県か、全種類かコンドか、売り出しか登記か、どの四半期かを聞き、この統計の該当する行と並べて確かめます。

次に読む

この記事で出てくる言葉

言葉ざっくりいうと
不動産情報センター(REIC)政府系住宅銀行(GHバンク)の調査部門。住宅市場の統計を四半期ごとに公表する
中古住宅(ที่อยู่อาศัยมือสอง)一度所有者がついた住宅。この統計では戸建て・タウンハウス・コンド・商業ビル(店舗つき住宅)・半戸建てを含む
売り出し中の累計(ประกาศขายสะสม)四半期末の時点で売りに出ている中古の戸数と売り出し価格の合計。成約した数ではない
移転登記土地事務所で所有者の名義を変える手続き。この統計は中古の分だけを数える
法務執行局(กรมบังคับคดี)裁判所の判決に基づく差し押さえと競売を行う役所。競売物件の売り出し情報を出す
資産管理会社(AMC)銀行から不良債権と担保物件を買い取って処分する会社。担保物件を売りに出す
特定金融機関(SFI)政府系の金融機関(住宅銀行など)。担保物件の売り出し元の一つ
前年同期比(YoY)前の年の同じ四半期と比べた変化率

よくある質問

「タイの中古コンドはよく売れている」という説明は、この統計で確かめられますか?

戸数の動きは確かめられます。2026年4〜6月期の中古コンドの移転登記は1万6,386戸で前年同期比39.4%増、金額は281億8,800万バーツで41.0%増でした。ただし同じ期間に売り出し中の中古コンドも4万9,199戸(25.2%増)に増えており、売り出しの金額は67.8%増と戸数の伸びを大きく上回ります。売れている一方で、高い価格で売りに出る部屋も増えている、という読み方になります。

バンコクの中古の売り出し価格の平均940万バーツは、相場として使えますか?

そのままは使えません。これはバンコク都で売り出し中の中古住宅(戸建て・タウンハウス・コンド・商業ビルを含む)の売り出し価格の合計を戸数で割った数字で、1,000万バーツ超の物件の売り出しが増えた影響で前年の800万バーツから上がりました。成約価格ではなく売り手の希望価格で、種類やエリアも混ざっています。特定の建物の相場は、同じ建物の成約事例で確かめます。

競売物件が多いと聞きますが、どれくらいあるのですか?

2026年4〜6月期に売り出し中の中古19万5,941戸のうち、法務執行局(競売)の物件は6万1,646戸(31.5%)でした。前年同期より6.1%減っています。銀行や資産管理会社の担保物件を合わせると、個人・仲介会社以外の売り手が戸数で約64%を占めます。ただし金額では個人・仲介会社の売り出しが70.8%で、競売や担保物件は価格の低い物件が中心です。

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補足情報

タイで中古の住宅がどれだけ売りに出て、どれだけ売れているかを示す公的な統計は、政府系住宅銀行の不動産情報センター(REIC)が四半期ごとに公表する「全国の中古住宅市場の状況」です。不動産ポータル、銀行や資産管理会社の担保物件、法務執行局の競売物件の売り出し情報を集め、土地局の移転登記のうち中古の分と合わせて集計します。2026年4〜6月期は、売り出し中の中古が全国で19万5,941戸(前年同期比6.1%増)・9,412億1,800万バーツ(24.9%増)、中古の移転登記が6万2,343戸(24.0%増)・1,245億1,400万バーツ(22.9%増)でした。中古コンドは売り出しが25.2%増、登記が39.4%増。地域別・県別・種類別・価格帯別・売り手別の表、この統計が数えているもの、読むときの注意、自分で確かめる方法を整理します。

出典・参考

  1. ศูนย์ข้อมูลอสังหาริมทรัพย์(不動産情報センター、REIC)「สถานการณ์ตลาดที่อยู่อาศัยมือสองทั่วประเทศ ไตรมาส 2 ปี 2569」(2026年9月8日公表のプレスリリースPDF、10ページ。売り出し中の中古の戸数・金額を地域別・県別・種類別・価格帯別・売り手別に、中古の移転登記を地域別・県別・種類別・価格帯別に集計した表)(2026-10-01 参照)
  2. REIC プレスリリース掲載ページ(No.288、2026年9月8日。データの出どころ=不動産ポータル、金融機関、資産管理会社、法務執行局、土地局の説明)(2026-10-01 参照)
  3. REIC「สถานการณ์ตลาดที่อยู่อาศัยทั่วประเทศ ไตรมาส 2 ปี 2569 และครึ่งแรกปี 2569」(2026年9月30日。新築を含む全国の住宅の移転登記9万5,082戸・コンド3万2,204戸。中古の割合の計算に使用)(2026-10-01 参照)
  4. ตลาดนัดบ้านมือสอง(taladnudbaan.com、REICが運営する中古住宅の売り出し情報サイト。統計の元データの一つ)(2026-10-01 参照)