マレーシアの売れ残り住宅の統計の読み方
執筆 編集部

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売れ残りは2つの表に分かれている
マレーシアの売れ残りの統計は、「住宅」と「商業物件」の2つに分かれています。土地の用途が住宅用の戸建てやコンドミニアムは住宅の表に、商業用の土地に建つ高層の住居(サービスアパートメント)は商業物件の表に入ります。
2026年上期の売れ残りは、住宅が3万3,094戸、サービスアパートメントが2万3,375戸でした。報道で「住宅の売れ残り3万戸超」と出るのは前者の数字です。ジョホール州やクアラルンプールで外国人向けに売られてきた高層の物件はサービスアパートメントとして建てられたものが多く、後者の表に入ります。自分の物件がどちらの区分かは、権利証(ストラタ・タイトル)の土地の用途か、開発会社の販売資料で分かります。
2026年上期の数字
| 区分 | 住宅 | サービスアパートメント |
|---|---|---|
| 完成済みの売れ残り | 3万3,094戸・177億8,000万リンギ | 2万3,375戸・162億8,000万リンギ |
| 前年同期(2025年上期)との比較 | 戸数+23.0%、金額+8.2% | 戸数+30.7%、金額+12.8% |
| 前期(2025年下期)との比較 | 本文に記載なし | 戸数+24.7%、金額+5.6% |
| 建設中の未販売 | 5万8,611戸(前年同期比−9.9%) | 5万112戸 |
| 未着工の未販売 | 1万2,894戸(前年同期比+1.8%) | 1万4,618戸 |
NAPIC「Property Market Status Report H1 2026」の本文と7〜8ページの表による。金額は売れ残っている住戸の販売価格の合計で、値下げ後の価格ではありません。
住宅の売れ残りは1年で23.0%増えました。建設中の未販売は減っていますが、これは完成して「売れ残り」の表へ移った分も含むため、在庫が消えたことを意味しません。
州別の売れ残り
| 州 | 住宅(戸) | 住宅(百万リンギ) | サービスアパートメント(戸) | サービスアパートメント(百万リンギ) |
|---|---|---|---|---|
| ジョホール | 4,222 | 3,715.59 | 9,946 | 6,293.53 |
| クアラルンプール | 3,687 | 1,919.06 | 6,343 | 6,405.92 |
| セランゴール | 4,185 | 3,106.88 | 4,034 | 1,801.37 |
| ペナン | 3,114 | 1,905.78 | 192 | 196.21 |
| ペラ | 4,075 | 1,166.77 | 169 | 87.65 |
| 全国 | 33,094 | 17,779.82 | 23,375 | 16,281.71 |
2026年上期、完成済みの売れ残り。NAPIC の同じ報告書の7〜8ページの表から主な州を抜粋。
住宅の売れ残りは州ごとの差が小さく、ジョホール、セランゴール、ペラ、クアラルンプールが4,000戸前後で並びます。サービスアパートメントは違います。ジョホール州が9,946戸で全国の4割強、クアラルンプールが6,343戸で、この2つで全国の7割を占めます。金額ではクアラルンプールが64億リンギでジョホール州を上回り、1戸あたりの価格が高いことが分かります。
サービスアパートメントは建設中の未販売も多く、セランゴール州1万7,437戸、ジョホール州1万756戸、クアラルンプール8,767戸、ペナン州3,441戸です。これらは完成すると売れ残りの表に移る可能性があります。
価格帯と滞留している年数
| 項目 | 住宅 | サービスアパートメント |
|---|---|---|
| 価格帯で最も多い区分 | 30万リンギ以下が37.3%(1万2,340戸)。50万リンギ超が35.1%、30万〜50万リンギが27.6% | 50万〜100万リンギが55.2%。100万リンギ超が18.2% |
| 種類で最も多い区分 | コンドミニアム・アパートが42.8%(1万4,160戸)、テラスハウスが34.9% | (すべて高層) |
| 滞留年数で最も多い区分 | 6〜10年が38.0%(1万2,567戸)。3年未満が33.0%、3〜5年が18.5%、10年超が10.6% | 6〜10年が71.1%(1万6,612戸)。3〜5年が15.0%、10年超が10.6%、3年未満が3.3% |
同じ報告書の本文(住宅は13ページ、サービスアパートメントは29〜30ページ)による。滞留年数は発売からの年数。
サービスアパートメントの売れ残りは、7割が発売から6〜10年たっています。2016〜2020年ごろに発売された物件が売れないまま残っている形で、外国人の買い手が減った時期と重なります。価格帯も50万〜100万リンギに集中しており、マレーシアの多くの州が外国人に定める下限価格と同じ帯です(マレーシアで物件を買う流れ)。中古で売るときの買い手は同じ帯の新築の在庫と比べることになります。
読むときの注意
- この統計は開発会社への調査に基づく新築の在庫です。中古の売り物や、個人が貸し出せずに持っている部屋は入りません。
- 「売れ残り」は完成後の数字です。建設中・未着工の未販売は別の表にあり、将来の売れ残りの候補として一緒に見ます。
- 金額は販売価格の合計です。実際の値引き後の価格や、成約価格ではありません。
- 州単位の集計で、ジョホールバルやクアラルンプール中心部といった地区ごとの数字は報告書にありません。地区の在庫は、現地の仲介会社の売り出し一覧で補います。
- 前年同期比と前期比では意味が違います。上の表の前年同期比は1年前との比較、前期比は半年前との比較です。
自分で確かめる方法
- NAPIC の「Latest Publication」を開き、「Property Market Status Report H1 2026」のPDFをダウンロードする。半年ごとに更新され、下期分は翌年3月ごろに出ます。
- 7〜8ページの表で、住宅の「Unsold Completed」と、商業物件の「Serviced Apartment」の列を州ごとに見る。
- 13ページ以降の本文で、価格帯・種類・滞留年数の割合を読む。マレー語と英語が並んでいます。
- 自分の物件の州・価格帯・区分(住宅かサービスアパートメントか)に当てはまる在庫を書き出し、売却や賃貸の見込みを考えるときの材料にする。
次に読む
この記事で出てくる言葉
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 売れ残り(オーバーハング) | 完成して完成の証明書(CCC)を受けた後も、発売から9か月を超えて売れていない新築の住戸 |
| 建設中の未販売・未着工の未販売 | 発売から9か月を超えて売れていない、まだ完成していない住戸。売れ残りとは別に集計される |
| サービスアパートメント | マレーシアの統計では、商業用の土地に建つ高層の住居。住宅ではなく商業物件として集計される(用語) |
| SOHO | 事務所と住居を兼ねる小さな区画。これも商業物件に入る |
| NAPIC | 財務省 評価・不動産サービス局の国家不動産情報センター。半年ごとに統計を公表する |
よくある質問
「住宅の売れ残りは3万3,094戸」と聞きましたが、外国人が買うコンドはこの中に入っていますか?
一部だけです。NAPIC の統計では、商業用の土地に建つ高層住居はサービスアパートメントとして別に集計されます。2026年上期のサービスアパートメントの売れ残りは2万3,375戸で、ジョホール州とクアラルンプールに集中しています。外国人向けに売られる高層の物件はこちらに入ることが多いため、両方の数字を見てください。
売れ残りの戸数が増えていると、持っている物件の価格は下がりますか?
将来の価格は分かりません。ただ、同じ州・同じ価格帯に新築の在庫が多いほど、中古を売るときに新築と比べられやすくなります。報告書の州別・価格帯別の表で、自分の物件と同じ区分の在庫がどれくらいあるかを見ておくと、売却の価格や期間の見込みを立てやすくなります。
この統計は中古の売れ残りも含みますか?
含みません。開発会社が発売した新築で、完成の証明書(CCC)を受けた後も発売から9か月を超えて売れていない住戸が対象です。中古の在庫や、個人が売り出している物件は入っていません。
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補足情報
マレーシア財務省の NAPIC は、売れ残り(オーバーハング)を「住宅」と「サービスアパートメント」に分けて集計しています。2026年上期は住宅が3万3,094戸、サービスアパートメントが2万3,375戸で、外国人が買うことの多い高層住宅の多くは後者に入ります。州別・価格帯・滞留年数の表と、報告書のどこを見るかを説明します。
出典・参考
- NAPIC(財務省 評価・不動産サービス局)「Laporan Status Pasaran Harta Tanah / Property Market Status Report H1 2026」(報告書PDF。7〜8ページの州別の表、13〜20ページの住宅、23〜31ページのサービスアパートメントの本文。売れ残りの定義は序文)(2026-10-09 参照)
- NAPIC「Latest Publication」(上記の報告書と、住宅価格指数・ストック報告の掲載ページ)(2026-10-09 参照)
- NAPIC「Siaran Media: Pelancaran Laporan Pasaran Harta H1 2026」(2026年9月10日の財務省の発表文。取引額・住宅価格指数の見出しの数字)(2026-10-09 参照)
- 海外不動産.com「マレーシア上期の不動産取引は18万7,320件・1,051億リンギ」(2026年9月10日の発表の要約。住宅の売れ残り3万3,094戸の照合に使用)(2026-10-09 参照)