マレーシアのコンドの管理組織(JMBとMC)
執筆 編集部

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結論
- 管理組織は2段階です。ストラタタイトルの発行前は開発会社と購入者でつくるJMB、発行後は所有者だけのMCが共用部を管理します。役割とお金のルールはストラタ管理法2013(Act 757)に書かれています。
- 管理費はシェアユニットに比例して負担します。積立金は管理費の10%以上、遅延利息は年10%が上限です。
- 総会の7日前に滞納があると議決権がありません。委任状は48時間前までに提出します。
- 滞納すると、14日以上の期限を付けた催告の後、裁判所か審判所への申し立て、または部屋の中の動産の差し押さえの手続きに進めます。
- 審判所は25万リンギまでの紛争を扱い、申し立ての手数料は住宅で100リンギです。所有者の側からも申し立てられます。
2つの管理組織:JMBとMC
| 項目 | JMB | MC |
|---|---|---|
| いつ | ストラタタイトルの発行前。開発会社は引き渡しから12か月以内に初回の年次総会を開き、そこでJMBが成立する(第17・18条) | ストラタタイトルが発行され登記簿が開かれると成立。開発会社以外の所有者のシェアユニットが合計で4分の1以上になった時点(「初期期間」の終わり)から1か月以内に、開発会社が初回の年次総会を開く(第57条) |
| 構成 | 開発会社と購入者 | 登記された所有者 |
| 運営 | 総会で選ぶ委員会(JMC) | 総会で選ぶ管理委員会 |
| 実務 | 委員会が管理会社(登録された物件管理業者など)に委託することが多い | 同じ |
| 終わり | MCの初回総会から3か月で解散。1か月以内に口座の残高、監査済みの会計、細則、書類をMCに引き継ぐ(第27条) | 建物がある限り続く |
JMBの前には開発会社だけが管理する期間があります。開発会社は管理費の口座と積立金の口座を別に開き、購入者から集めたお金を3営業日以内に入れる義務があります(第10・11条)。開発会社が初回総会を期限内に開かないと、COBが人を任命して総会を開かせ、費用は開発会社が負担します(第18条5項)。
お金のルール
| 項目 | 法律の定め | 条文 |
|---|---|---|
| 管理費の配分 | 各区画のシェアユニットに比例。額はJMB・MCが総会で決める。用途が大きく異なる区画(住宅と店舗など)には異なる料率を設定できる(MC) | 第25条3項、第60条3項 |
| 積立金 | 管理費の10%相当。JMBは総会で変えられるが10%を下回れない。MCも管理費の10%相当を集める | 第25条4項、第59条2項 |
| 開発会社の未販売区画 | 開発会社も、売れていない区画の分の管理費と積立金を払う | 第25条2項 |
| 支払いの期限 | 通知を受けてから14日以内 | 第25条5項 |
| 遅延利息 | 総会で決める。年10%が上限。細則の初期設定は年10%(日割り)で、総会で別の率を決められる | 第25条6項、第60条3項、規則2015の第3附則・細則6 |
| 会計 | 帳簿の監査を受け、監査済みの財務諸表を構成員に示す義務 | 第21条1項、第59条1項 |
| 滞納者リスト | 管理組織は滞納者の氏名・区画・金額の一覧を掲示板に貼ることができる。毎月更新 | 規則2015の第3附則・細則6 |
シェアユニットは権利証に記載され、専有面積などをもとに割り当てられます。同じ面積でも用途で違うことがあるため、買う前に自分の区画のシェアユニットと、建物全体の合計を確かめると、毎月の負担の割合が分かります。
総会と議決権
| 項目 | 定め(第2附則) |
|---|---|
| 年次総会 | 年1回。前回から15か月を超えない |
| 臨時総会 | 合計シェアユニットの4分の1以上の所有者が書面で求めると、委員会は開く義務がある |
| 通知 | 14日以上前。議案と、本人または代理人で投票できることを書く。年次総会の通知には前回の議事録と監査済みの会計を添える |
| 議案の追加 | 所有者は総会の7日前までに書面で動議を出せる。委員会は議題に加え、掲示する |
| 議決権者の一覧 | 総会の48時間前までに掲示 |
| 議決権 | 挙手では1区画1票。投票(poll)が求められたときはシェアユニットの数 |
| 滞納と議決権 | 総会の7日前の時点で管理費・積立金などの滞納があると、投票できない |
| 委任状 | 書面で、所有者でない人でもよい。1人が代理できるのは1所有者だけ。総会の48時間前までにMCの登録住所に届ける。届いていないと出席も投票もできない |
| 定足数 | 議決権者の半数(本人または代理人)。開始から30分たっても足りなければ、出席者で成立 |
| 法人の所有者 | 授権した代表者が出席・投票できる |
日本に住む所有者は、委任状で参加することになります。代理人は管理会社の担当者でも知人でもかまいませんが、1人が複数の所有者の代理はできないため、管理会社に大勢の委任が集まる形は取れません。委任状の作成に代理権の書類を使う場合は、その写しを添えます(POAとは)。
滞納したときの手続き
- 管理組織は、14日以上の期限を付けた書面の催告(Form 11)を送ります(JMBは第34条、MCは第78条で「2週間以上」)。
- 期限を過ぎても払われないと、裁判所または審判所に回収を申し立てるか、COBに申請して動産の差し押さえの令状を受けます(第35条、第79条)。令状では部屋の中の動産を差し押さえ、14日以内に払われなければ競売にかけられます。
- 正当な理由なく催告に応じないことは違反行為で、5,000リンギ以下の罰金または3年以下の禁錮、続く場合は1日50リンギの加算があります(第34条3項、第78条3項)。
- 貸している場合、借主が差し押さえを避けるために肩代わりして払うと、その額を家賃から差し引けると法律に書かれています(第79条5項)。所有者が滞納すると、家賃の入金が減る形で表に出ます。
- MCは、区画の家賃を受け取っている人(管理会社など)からも管理費を回収できます(第60条4項)。
- 滞納中は総会で投票できず、滞納者リストに区画が載ることがあります。
滞納は建物全体の問題にもなります。入居者の少ない建物で滞納が増え、共用部の状態が悪くなり、さらに借り手が離れる流れはマレーシアの物件が売れにくい理由で触れています。
紛争になったら:ストラタ管理審判所
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 扱う紛争(第4附則 第1部) | 管理費・積立金の回収、総会の招集命令、通知や議決権の不備による決議の無効、遅延利息の率の変更、書類の提出の強制、共用部の欠陥の修理費、細則の変更の取り消し など |
| 金額の上限 | 25万リンギ(第105条) |
| 扱わないもの | 土地の権利そのものが争われる事件(第105条3項) |
| 申し立てられる人 | 開発会社、購入者、所有者、JMB、MC、副MC、管理代理人、審判所の許可を得た利害関係者(第107条) |
| 手数料 | 住宅は100リンギ、商業・工業は200リンギ(KPKT) |
| 申し立ての方法 | 所定の様式(Form 1)を窓口に出すか、オンラインの e-TPS で提出(KPKT) |
| 相手方の答弁 | 14日以内(KPKT) |
| 裁定の内容(第4附則 第2部) | 支払い命令、返金、損害の補償、契約や細則の修正・取り消し、費用、年8%までの利息 |
| 裁定に従わないと | 刑事罰の対象。調査はCOBが行う(KPKT) |
弁護士事務所の解説によると、審判所では弁護士による代理は原則できず(例外あり)、裁定は可能なら初回の審理から60日以内に出すこととされています。裁判よりも費用と時間を抑えて争える場として、所有者の側が「総会の通知が来なかった」「書類を見せてもらえない」といった申し立てをする道もあります。
管理がうまくいっていないとき:COBと管理代理人
COBは、州が地方自治体の区域ごとに任命する責任者です(第4条)。購入者や所有者が申し立て、調査の結果、開発会社・JMB・MCの管理が十分でないとCOBが判断すると、COBが管理代理人(マネージングエージェント)を任命して管理させることができます(第86条)。初回総会に誰も来ない、委員になる人がいないといった場合も、COBが日を改めるか管理代理人を任命します(第19条2項)。
買う前・持っている間に自分で確かめる方法
| 見るもの | どこで | 何を見るか |
|---|---|---|
| 直近の年次総会の議事録と監査済みの会計 | JMB・MCの事務所(年次総会の通知に添付される) | 滞納の総額と割合、積立金の残高、大きな修繕の予定、可決された決議 |
| 管理費・積立金・利息率の決議の通知 | JMB・MC | 自分の区画の額、遅延利息の率 |
| 滞納者リスト | 建物の掲示板 | 滞納の広がり |
| ストラタタイトルの発行状況とシェアユニット | 開発会社、権利証、州の土地事務所 | JMBかMCか、負担の割合 |
| 審判所や裁判の履歴 | JMB・MCに質問 | 開発会社や管理組織との紛争 |
| 法律の条文 | 法務長官室の法令ポータル(lom.agc.gov.my)、KPKT | 条文の確認、改正の有無 |
議事録の読み方はHOA議事録とは、管理会社と担当者の登録の確かめ方はマレーシアの管理会社・仲介の選び方を参照してください。
次に読む
この記事で出てくる言葉
| 言葉 | ざっくりいうと |
|---|---|
| ストラタタイトル | 区分所有の権利証。建物の完成後に発行される(詳しく) |
| JMB(Joint Management Body) | 権利証の発行前に、開発会社と購入者でつくる管理組織 |
| MC(Management Corporation) | 権利証の発行後に、登記された所有者だけでつくる管理組織 |
| 管理費(Charges) | 共用部の維持管理のために毎月払うお金。法律では「Charges」 |
| 積立金(シンキングファンド) | 大きな修繕に備えて積み立てるお金(詳しく) |
| シェアユニット | 各区画に割り当てられた持分の単位。管理費の配分と投票の重みに使う |
| COB(Commissioner of Buildings、建物管理官) | 州が地方自治体の区域ごとに置く、この法律の運用の責任者 |
| 審判所(Tribunal Pengurusan Strata) | 管理をめぐる紛争を低い費用で解決する場。裁判所とは別 |
よくある質問
日本に住んでいて管理費の請求に気づかず滞納したら、何が起きますか?
法律では、通知を受けてから14日以内に払う義務があり、過ぎると総会で決めた利率(年10%が上限)の遅延利息がつきます。管理組織は14日以上の期限を付けた催告書を送り、それでも払われなければ裁判所か審判所に申し立てるか、建物管理官の令状で部屋の中の動産を差し押さえることができます。総会の7日前に滞納があると議決権もなくなります。請求書の送り先を管理会社にして、入金を毎月確かめる形にしておくと見落としが減ります。
JMBとMCのどちらの建物かは、どうすれば分かりますか?
区分の権利証(ストラタタイトル)が発行されているかで分かれます。発行前はJMB、発行され登記簿が開かれるとMCが成立します。開発会社か管理事務所に、ストラタタイトルの発行状況と、直近の総会がJMBとMCのどちらの名前で開かれたかを聞くと確かめられます。
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補足情報
マレーシアの区分所有の建物は、権利証(ストラタタイトル)の発行前は開発会社と購入者でつくるJMB、発行後は所有者だけのMCが共用部を管理します。ストラタ管理法2013(Act 757)と2015年の規則に書かれている管理費の配分(シェアユニット)、積立金は管理費の10%以上、遅延利息は年10%が上限、総会の7日前に滞納があると議決権がない、委任状は48時間前まで、といったルールと、滞納時の手続き、25万リンギまでの紛争を扱う審判所、買う前に自分で確かめる方法を条文つきで整理します。
出典・参考
- Strata Management Act 2013(Act 757)— 条文(第17・18・21・25・27・34・35・57〜60・77〜79・86・105〜107条、第2附則・第4附則)(2026-09-24 参照)
- Strata Management (Maintenance and Management) Regulations 2015 — 規則20(Form 11)、第3附則の細則6(遅延利息・滞納者リスト)(2026-09-24 参照)
- 住宅・地方政府省(KPKT)— Tribunal Pengurusan Strata(ストラタ管理審判所)のよくある質問(手数料・申し立ての流れ・e-TPS)(2026-09-24 参照)
- 住宅・地方政府省(KPKT)— Tribunal Perumahan dan Pengurusan Strata(2026-09-24 参照)
- Mah Weng Kwai & Associates「10 Things to Know About the Strata Management Tribunal」(弁護士事務所の解説。代理人の制限・裁定の期限の確認に使用)(2026-09-24 参照)