フィリピンの大手開発会社4社、2026年の投資を25%削減
執筆 編集部

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格付け会社 S&P グローバル・レーティングは2026年10月、東南アジアの不動産市場に関する報告の中で、フィリピンの大手開発会社4社が2026年の設備投資の予算を当初の計画から25%減らしたと指摘しました。現地紙2紙が10月6日に報じたものです。4社はアヤラ・ランド、メガワールド、SM プライム・ホールディングス、ロビンソンズ・ランドで、報告は削減の理由をマクロ経済と業界の先行きの不透明さとしています。
報道の内容
| 項目 | 報告の指摘(現地報道による) |
|---|---|
| 大手4社の2026年の設備投資 | 当初計画から25%削減。投資先を住宅の開発から商業施設・オフィスなどの賃貸用の不動産へ移す |
| 住宅の販売 | 2026年上半期は前年比7%減。2025年通年の11%減から減少幅は縮んだ |
| 売れ残り | 完成済み(RFO)の在庫は高い水準のまま。供給過剰はマニラ首都圏に集中 |
| 開発会社の対応 | マニラ首都圏の外の手ごろな価格の住宅へ軸足を移す。需給が比較的つり合っている地域を選ぶ |
| 需要の見通し | 金利の上昇と購買力の低下が、今後12か月、中価格帯と手ごろな価格帯の需要を押し下げる |
| 資金調達の環境 | 国内の銀行は不動産業界への融資に慎重 |
| REIT の活用 | 各社が子会社の不動産投資信託(REIT)へ物件を移して資金を回収。アヤラ・ランドは195億ペソ、ロビンソンズ・ランドは106億ペソの物件の移転を計画、メガワールドは2026年に REIT の賃貸面積を47%増やす計画 |
| マクロの前提 | 実質 GDP 成長率は2026年2.9%、2027年5.4%。物価上昇率は2026年5.5%、2027年3.6% |
RFO は「ready for occupancy」の略で、完成して引き渡せる状態の住戸のことです。The Philippine Star によると、報告は1戸1,200万ペソ以上を高価格帯、それ未満を中価格帯・手ごろな価格帯と区分しています。
S&P は2025年5月の報告でも同じ4社を取り上げ、上場不動産会社の時価総額と売上の約6割を占める大手として、高価格帯の案件へ軸足を移す動きを指摘していました。今回の報告は、その後の1年で需給の緩みが完成済み在庫として残り、投資の抑制と地方・手ごろな価格帯への転換が進んだことを示しています。
投資家にとっての意味(編集部)
- マニラ首都圏のコンドを持っている人にとって、新しい供給が減ることは売れ残りの消化を助ける方向に働きます。ただし開発会社が投資を減らす理由は販売の鈍さと金利の高さで、家賃や中古の価格がすぐに上向くという意味ではありません。自分の部屋の価値は、同じ建物の直近の成約と成約家賃で確かめます(フィリピンの家賃の相場と借り手)。
- 完成前の物件(プレビルド)を買う人は、開発会社が住宅から賃貸用の不動産へ投資を移していることを頭に入れておくと、工期の遅れや仕様の変更が起きたときの見方が変わります。契約書の引き渡し時期と遅延のときの扱いを先に読んでおきます(プレビルドの契約書で見る10か所)。
- 報告が前提とする2026年の物価上昇率5.5%は、9月の実績7.2%より低い水準です。物価と金利の動きは、借り手の支払い能力とペソ建ての手取りの両方に効きます(フィリピンの物価、9月は7.2%上昇、フィリピン中銀の住宅価格指数の読み方)。
出典
- The Philippine Star(2026年10月6日)と BusinessWorld(2026年10月6日)の報道。いずれも S&P グローバル・レーティングの2026年10月の東南アジア不動産報告を引用したもの
- S&P グローバル・レーティング 2025年5月22日の報告の案内ページ(前年の同じ主題の報告。4社の位置づけの確認に使用)
報告の本文は S&P の会員向けサイトに掲載されており、当サイトでは確認できていません。本文で数字が異なる場合は、本文が優先します。開発会社の社名は報道の記載どおりで、当サイトが各社を評価するものではありません。
よくある質問
開発会社が投資を減らすと、持っているコンドの価値は上がりますか?
そうとは限りません。新しい供給が減ることは需給の面では売れ残りを減らす方向に働きますが、投資を減らす理由そのものが販売の鈍さと金利の高さです。報告は、中価格帯と手ごろな価格帯の需要は今後12か月、金利と購買力の弱さに押されるとしています。持っている部屋の価値は、同じ建物の直近の成約と家賃で確かめます。
この報告はどこで読めますか?
S&P グローバル・レーティングの東南アジア不動産に関する報告で、本文は同社の会員向けサイトに掲載されています。当サイトは本文を確認できていないため、この記事は現地紙2紙の報道で一致した数字だけを載せています。
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補足情報
格付け会社 S&P グローバル・レーティングの2026年10月の東南アジア不動産報告によると、フィリピンの大手開発会社4社は2026年の設備投資の予算を当初計画から25%減らしました。住宅の販売の減少幅は2026年上半期に前年比7%へ縮んだものの、完成済みの売れ残りは多く、各社はマニラ首都圏の外の手ごろな住宅と、商業施設などの賃料収入へ重心を移しています。複数の現地報道をまとめたものです。
出典・参考
- The Philippine Star「Property developers cut capex as housing glut weighs on sales」(2026年10月6日)(2026-10-07 参照)
- BusinessWorld「Developers seek growth in provincial affordable housing — S&P」(2026年10月6日)(2026-10-07 参照)
- S&P Global Ratings「Top Philippine Developers Pursue Growth Despite Industry Strains, Says Report」(2025年5月22日。前年の同じ主題の報告の案内ページ。2026年10月の報告の本文は会員向けで、当サイトでは未確認)(2026-10-07 参照)