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解説インドネシア(バリ島)

インドネシア中央銀行の住宅価格調査(SHPR)の読み方

執筆 編集部

戸建てと小規模集合住宅を並べて比較するイラスト
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住宅価格指数で分かること・分からないこと

  • インドネシアの住宅価格の公的な統計は、中央銀行(Bank Indonesia)の住宅価格調査(SHPR)です。18都市の開発会社に、新築住宅の売値を対面で聞き取って作ります。中古の売買は入らず、報告書にアパート(区分所有)の区分はありません。
  • 2026年4〜6月期の全国の指数は110.89(2018年=100)、前年同期比0.69%上昇。1〜3月期の0.62%よりわずかに高く、前期比では0.26%上昇でした。中央銀行はこれを「限定的な上昇(meningkat terbatas)」と表現しています。
  • 都市別ではプカンバル(3.23%)、バタム(2.63%)、ポンティアナック(2.35%)が高く、スラバヤ(−0.10%)は前年比でわずかな下落、バンダルランプン(0.00%)は横ばいでした。日本の読者が見ることの多いジャボデベック・バンテンは0.70%、デンパサール(バリ島)は1.02%です。
  • 新築の販売戸数は前年同期比−2.36%。1〜3月期の−25.67%からは持ち直しましたが、まだ前年を下回ります。買い手の70.05%が住宅ローン(KPR)を使い、住宅ローン金利は年7.44%でした。
  • この指数が示すのは「開発会社が売る新築住宅の価格が、ゆるやかに上がっている」ことまでです。外国人が買うことの多いアパートやヴィラ、中古の値動きは別に確かめる必要があります。

2026年4〜6月期の数字(全国)

項目指数(2018年=100)前年同期比1〜3月期の前年同期比前期比
全国(IHPR)110.89+0.69%+0.62%+0.26%
小タイプ113.89+0.49%+0.61%−0.02%
中タイプ114.01ほぼ横ばい(1〜3月期と同程度)—+0.40%
大タイプ108.41+0.68%+0.50%+0.26%

※ 中央銀行の報告書は、4〜6月期の上昇を「主に大タイプの価格の伸び」によると説明しています。前期比では中タイプが0.40%と最も高く、1〜3月期の−0.01%から転じました。

18都市の指数と前年同期比

都市2026年4〜6月期の指数前年同期比1〜3月期の前年同期比動き
プカンバル(スマトラ)119.62+3.23%−0.03%加速
バタム(スマトラ、シンガポール対岸)112.34+2.63%+2.18%加速
ポンティアナック(カリマンタン)120.74+2.35%+2.08%加速
メダン(スマトラ)117.54+1.50%+1.38%加速
バンジャルマシン(カリマンタン)111.29+1.29%+0.52%加速
バリクパパン(カリマンタン)107.58+1.19%+1.44%減速
バンドン(ジャワ)111.10+1.05%+0.37%加速
デンパサール(バリ島)106.04+1.02%+0.87%加速
ヨグヤカルタ(ジャワ)114.45+0.77%+0.85%減速
スマラン(ジャワ)106.29+0.76%+0.87%減速
ジャボデベック・バンテン(ジャカルタ圏)110.49+0.70%+0.78%減速
パダン(スマトラ)109.55+0.63%+1.21%減速
マカッサル(スラウェシ)110.93+0.55%+0.40%加速
パレンバン(スマトラ)108.62+0.19%+0.28%減速
マナド(スラウェシ)113.18+0.17%−0.16%加速
サマリンダ(カリマンタン)109.12+0.12%+0.21%減速
バンダルランプン(スマトラ)105.480.00%+0.01%横ばい
スラバヤ(ジャワ)108.57−0.10%−0.27%下落幅が縮小
全国110.89+0.69%+0.62%加速

※ 報告書の付表(Tabel 2・Tabel 3)の「TOTAL」行の値。中央銀行は「18都市のうち10都市で前年比の伸びが高まり、7都市で低下、1都市が横ばい」と説明しています。前期比ではプカンバル(+3.26%)とジャボデベック・バンテン(+0.23%)が上昇をけん引し、パダン(−0.26%)とバリクパパン(−0.08%)は下落しました。

販売と資金調達

項目2026年4〜6月期2026年1〜3月期
新築の販売戸数(前年同期比)−2.36%−25.67%
小タイプの販売(前年同期比)−2.88%−45.59%
中タイプの販売(前年同期比)−10.51%+8.28%
大タイプの販売(前年同期比)+13.08%−8.03%
販売戸数(前期比)+9.39%−7.69%
開発会社の資金源:自己資金73.28%—
開発会社の資金源:銀行借り入れ17.89%—
開発会社の資金源:買い手からの入金8.83%—
買い手の支払い方法:住宅ローン(KPR)70.05%—
買い手の支払い方法:分割の現金払い20.60%—
買い手の支払い方法:一括の現金払い9.35%—
住宅ローン(KPR)の金利年7.44%(1〜3月期と同程度)—
住宅ローン残高の伸び(前年同期比)+4.70%+4.79%

開発会社が挙げた販売の妨げになる要因は、建築資材の値上がり(27.10%)、住宅ローン金利(15.96%)、許認可・手続き(14.87%)、住宅ローンの頭金の高さ(11.53%)、税(9.75%)の順でした。

指数の作り方(報告書の注記から)

  • 対象:ジャボデベック・バンテン、バンドン、スラバヤ、スマラン、ヨグヤカルタ、マナド、マカッサル、デンパサール、ポンティアナック、バンジャルマシン、バンダルランプン、パレンバン、パダン、メダン、バタム、バリクパパンの16都市に、2018年1〜3月期からプカンバルとサマリンダを加えた18都市。
  • 方法:各都市の住宅開発プロジェクトの開発会社を標本に、対面で聞き取り。その四半期の売値、建てた戸数、売れた戸数、次の四半期の売値の見込みを集める。
  • 基準年:2022年7〜9月期から2018年=100(それまでは2002年=100)。
  • ウエイト:銀行の住宅ローンの担保価値にもとづいて都市やタイプの重みを決める。
  • 販売の数え方:2018年1〜3月期から、累積の販売数ではなく「その四半期の販売数」に変更。

読むときの注意(編集部)

  • 開発会社の「売値」の指数です。 買い手が実際に払った成約価格でも、登記所の記録でもありません。値引きやキャンペーンが多い時期は、表の売値と実際の取引価格がずれることがあります。
  • 中古とアパートは入っていません。 外国人が買える形(外国人が持てる権利)の多くはアパートの区分所有か、使用権(ハクパカイ)の住宅です。この指数が上がっていても、自分が検討するアパートの価格が上がっているとは限りません。
  • 都市の区分は市域の新築です。 「デンパサール」はバリ島全体ではなく、チャングーやウブドのヴィラは対象外です。「ジャボデベック・バンテン」はジャカルタの中心部だけでなく、郊外の戸建て団地を広く含みます。
  • 伸び率は1%前後の小さな数字です。 四半期ごとの振れ(プカンバルの−0.03%から3.23%への変化など)は、その都市の標本のプロジェクトが入れ替わった影響を受けやすいと考えられます。1つの四半期の順位で都市を選ぶ材料にはなりません。
  • 名目の指数です。 物価の上昇を差し引いた実質の値動きを見るには、中央統計庁(BPS)の消費者物価指数と並べる必要があります。

自分で確かめる方法

  1. 中央銀行のサイト(bi.go.id)→ Publikasi → Laporan で「Survei Harga Properti Residensial」を探します。四半期ごとに報告書(PDF)とデータ(ZIP)が置かれています。公表は四半期末の約5〜6週間後で、2026年は1〜3月期分が5月8日、4〜6月期分が8月7日でした。
  2. 報告書の最後の付表(Tabel 1〜3)に、全国・タイプ別・18都市別の指数と変化率が載っています。本文の都市名と表の「TOTAL」行を突き合わせます。
  3. 業者の資料の価格上昇率が「どの都市の、どの種類の住宅の、どの期間の、何の価格か」を聞き、この表と対象が同じかを確かめます。対象が違えば比べられません。
  4. 次の公表(7〜9月期分)は、過去の例では11月上旬です(2025年の7〜9月期分は11月6日に公表)。

次に読む

この記事で出てくる言葉

言葉ざっくりいうと
住宅価格調査(SHPR)中央銀行が四半期ごとに開発会社に聞き取りをして作る調査。Survei Harga Properti Residensial
住宅価格指数(IHPR)調査から作る価格の指数。2018年=100。Indeks Harga Properti Residensial
一次市場(pasar primer)開発会社が新築を売る市場。中古の売買(二次市場)は含まない
小・中・大タイプ調査で住宅を床面積で3つに分けた区分。境目の面積は報告書には書かれていない
ジャボデベック・バンテンジャカルタと周辺(ボゴール、デポック、ブカシ)とバンテン州を1つにまとめた地域
住宅ローン(KPR)Kredit Pemilikan Rumah。インドネシアの銀行の住宅ローン
前年同期比(yoy)・前期比(qtq)前の年の同じ四半期と比べた変化率・直前の四半期と比べた変化率

よくある質問

業者から「バリ島の不動産は毎年○%上がっている」と言われました。この統計で確かめられますか?

部分的にしか確かめられません。この調査はデンパサール市の開発会社が売る新築住宅の価格で、ヴィラやリゾートの区画、中古の売買、観光地の土地は入っていません。デンパサールの指数は2026年4〜6月期で前年比1.02%上昇でした。業者の数字がどの種類の物件の、どの期間の、何の価格(売り出し・成約・鑑定)かを聞き、この指数と対象が同じかを確かめます。

外国人が買えるアパート(区分所有)の価格の動きは分かりますか?

分かりません。この調査の対象は開発会社が売る「rumah(住宅)」の小・中・大の3タイプで、報告書にアパートの区分はありません。アパートの価格は、同じ建物の過去の成約や募集の価格、管理組合の資料、現地の仲介会社の成約事例で個別に確かめる必要があります。

前年比0.69%の上昇は、物価の上昇より低いのではありませんか?

指数は名目(物価の変化を差し引いていない)です。物価の上昇率と比べるには、同じ期間の消費者物価指数(中央統計庁BPSが公表)を並べて見ます。この記事では物価の数字を確認していないため、比較の判断は読者に委ねます。

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補足情報

インドネシア中央銀行の住宅価格指数は、18都市の開発会社から聞き取った新築住宅の売値がもとになっています。中古やアパートは対象外。2026年4〜6月期の都市別データと、指数を読む際の注意点を紹介します。

出典・参考

  1. Bank Indonesia「Survei Harga Properti Residensial Triwulan II 2026: Harga Properti Residensial Meningkat Terbatas」(プレスリリース No.28/152/DKom、2026年8月7日)(2026-10-01 参照)
  2. Bank Indonesia「Survei Harga Properti Residensial di Pasar Primer Triwulan II 2026」(報告書PDF、6ページ。全国・タイプ別・18都市別の指数と変化率の表、販売、資金調達、調査の方法の注記)(2026-10-01 参照)
  3. Bank Indonesia — 報告書の掲載ページ(Survei Harga Properti Residensial Triwulan II 2026、統計局)(2026-10-01 参照)
  4. Bank Indonesia — 住宅価格調査の報告書一覧(四半期ごとの公表日の確認に使用。1〜3月期分は2026年5月8日、4〜6月期分は8月7日)(2026-10-01 参照)
  5. Bank Indonesia「Survei Harga Properti Residensial Triwulan I 2026: Harga Properti Residensial Tumbuh Terbatas」(1〜3月期のプレスリリース。前期の数字の照合に使用)(2026-10-01 参照)