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解説カンボジア

プノンペンの雨季と浸水

執筆 編集部

雨の中の住宅と雨どい・排水路を描いた建物リスクのイラスト
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カンボジアの雨季は5〜10月です。プノンペンの年間の雨はおよそ1,400mmで、その約90%が雨季に降ります(JICA の2017年の調査報告)。強い雨が降ると道路が冠水し、水が引くまで何時間もかかる。そうした浸水が毎年の雨季に繰り返されてきました。

プノンペンの浸水の起き方

JICA が2017年にまとめた調査報告は、プノンペンの浸水を次のように説明しています。

  • 雨季に20回ほどある、1日20mm程度の雨でも、市内の各所で水が出る
  • 深さ20cm(歩道を越え、人の膝ほど)に達する浸水は、年に10回ほど起きる
  • 家の床下や床上への浸水、市場の浸水、交通の遮断、汚水の逆流による悪臭が起きる

原因として挙げられているのは、1960年代に整備された排水管が内戦の時期に手入れされず、壊れたりごみや泥で詰まったりしたこと、そして都市が広がって雨水が地面にしみ込まなくなったことです。

もう一つ、物件を見るときに覚えておきたい指摘があります。低い土地や湿地の埋め立てが進んだ結果、これまで浸水のなかった場所で新しく水が出るようになったというものです。新しい開発地だから水が出ないとは限りません。

プノンペンはメコン川、トンレサップ川、バサック川が合わさる場所の西岸にあります。川の水位は季節で大きく変わり、王宮の前の観測では、年間の最高水位の平均が標高8.73m、最低水位の平均が標高0.71mでした(同じ報告)。雨の時期に川の水位も上がるため、市街地の雨水が川へ流れにくくなります。

日本の援助による排水の整備

日本は無償の資金協力で、プノンペンの排水路とポンプ場の整備を段階的に進めてきました。

段階主な対象地域
第1次市街地の南西部
第2次市街地の北東部
第3次市街地の南東部
第4次(2017年10月〜、供与額39.48億円)ワットプノンの北側とトゥールコーク地区

第4次の調査では、トゥールコーク地区の浸水の範囲は約46万㎡、浸水の深さは最大50cm、水が引くまで最長9時間でした(2015年の実績)。事業の目標は、2年に1度ほどの強さの雨(1時間に44.8mm、1日に87.8mm)までなら、深さを20cm以下、時間を2時間以下にすることでした。目標の雨より強い雨では水が出ます。整備の後に実際にどこまで減ったかは、この記事では確かめていません。

トゥールコークは現地の会社員や家族が多く住む地区です(プノンペンのエリア別ガイド)。

コンドを買う・貸すときに見ること

浸水で困るのは、部屋に水が入ることだけではありません。

見る場所確かめること
建物の前の道路雨季に冠水するか。何時間で引くか。入り口が道路より高いか
地下の駐車場水の入り口をふさぐ板や、水をくみ出すポンプがあるか。過去に水をかぶったか
電気室・ポンプ室・発電機地下か1階か。水をかぶったときに停電や断水が起きないか
1階の部屋・店床の高さ。過去の浸水と修理の記録
管理と保険共用部分の保険の範囲。浸水の修理の費用を積立金から出した記録

日本から確かめる場合は、管理会社に次のことを頼むと様子がつかめます。

  1. 最近の雨季に、建物の前と地下がどうだったかを、写真とともに教えてもらう
  2. 管理組合の議事録で、浸水や排水ポンプの修理が議題になったかを見る
  3. 雨季の強い雨の後に、建物の周りの道路も含めて動画で撮ってもらう

借り手にとっても、通勤の道が冠水するかは住む場所を選ぶ理由になります。プノンペンの借り手と雨季の内見の事情は、プノンペンの借り手と賃貸の慣習にあります。

次に読む

雨季の月、雨の量、浸水の回数と深さは、JICA の2017年1月の調査報告によるもので、調査の時点の数字です。その後の排水の整備で変わっている地区があります。供与額はJICA の事業のページの記載です。

よくある質問

高い階の部屋なら浸水は気にしなくてよいですか?

部屋に水が入る心配は小さくなりますが、建物の周りの道路が冠水すると、借り手の通勤や内見ができなくなります。地下の駐車場や電気室が水をかぶれば、停電やエレベーターの停止が建物全体に及び、修理の費用は管理費や積立金から出ることがあります。階だけでなく、建物と周りの道路を見てください。

排水の工事が終わった地区なら安心ですか?

JICA の事業では、2年に1度ほどの強さの雨で浸水の深さを20cm以下、時間を2時間以下にすることを目標にしていました。それより強い雨では水が出ることがあり、工事の対象の外の地区は別です。現地の管理会社に、最近の雨季に建物の前がどうだったかを聞いてください。

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補足情報

プノンペンの雨季は5〜10月で、年間の雨の約9割がこの時期に降ります。JICA の2017年の調査では、膝ほどの深さの浸水が年10回ほど起きていました。浸水が起きやすい土地の特徴、日本の援助による排水の整備、コンドを買う・貸すときに見る地下・1階・周りの道路を説明します。

出典・参考

  1. 国際協力機構(JICA)「カンボジア国 第四次プノンペン洪水防御・排水改善計画 準備調査報告書」(2017年1月)(2026-10-06 参照)
  2. JICA「第四次プノンペン洪水防御・排水改善計画」(事業のページ)(2026-10-06 参照)
  3. JICA「第二次プノンペン市洪水防御及び排水改善計画」(事業のページ)(2026-10-06 参照)