1031交換とは:米国で売却益への課税を先送りして買い替える仕組み。45日・180日の期限、仲介者、日本に住む人が注意すること
1031交換(ライクカインド交換)は、米国の投資用不動産を売り、一定の期限内に別の投資用不動産を買うことで、米国の連邦所得税の課税を先送りできる仕組みです。45日・180日の期限、適格仲介者、条件を説明します。日本に住む人は日本でも課税されるため、米国の先送りが日本では効かない点に注意が必要です。
執筆 編集部

この記事で出てくる言葉
| 言葉 | ざっくりいうと |
|---|---|
| 1031交換 | 米国内国歳入法1031条による、投資用不動産の買い替えの課税の先送り |
| ライクカインド(同種) | 交換の対象が同じ種類(米国内の事業用・投資用の不動産どうし)であること |
| 適格仲介者(QI) | 売却代金を預かり、買い替えまで管理する第三者 |
| 45日ルール | 売却から45日以内に買い替え候補を書面で特定する期限 |
| 180日ルール | 売却から180日以内に買い替えを完了する期限 |
| FIRPTA | 外国人が売る米国不動産の源泉徴収(詳しく) |
先に結論
- 1031交換は、米国の投資用不動産を売って期限内に別の投資用不動産を買うと、米国の連邦所得税の課税を先送りできる仕組み。
- 期限は45日(候補の特定)と180日(取得の完了)。売却代金は適格仲介者が預かり、自分で受け取ると使えなくなる。
- 外国人が売る場合、FIRPTAの源泉徴収が原則かかる。1031交換をする場合は、源泉を減らす申請(Form 8288-B)が必要になる。
- 日本に住む人は日本でも課税される。日本では先送りされないのが原則で、米国と日本で課税の時期がずれ、外国税額控除の調整が難しくなる。
仕組み
- 投資用不動産(A)を売る。代金は適格仲介者の口座に入る。
- 売却から45日以内に、買い替え候補を書面で特定する(最大3件などのルール)。
- 売却から180日以内に、候補の中から不動産(B)を取得する。
- Aの売却益に対する米国の課税が、Bを売るときまで先送りされる。
条件:自宅や転売目的の物件は対象外。買い替え先の価格・借入がAより少ないと、差額(ブート)に課税される。
日本に住む人が注意すること
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 日本の課税 | 日本に住む人は世界中の所得を日本で申告。Aの売却益は、その年の日本の譲渡所得になる |
| 日本の特例 | 日本の買い替えの特例は国内の不動産が対象で、海外の不動産には使えないのが原則 |
| 時期のずれ | 日本では今年課税、米国では先送り。将来Bを売って米国で課税されたとき、日本の外国税額控除との対応が難しい |
| 為替 | 日本の計算は取得時・売却時の為替で円換算 |
この結果、日本に住む人にとっては、1031交換のメリットが米国の税の先送りだけになり、手続きの費用と期限の制約に見合うかを考える必要があります。
FIRPTAとの関係
- 外国人の売主には、売却価格の15%(条件により10%)が源泉徴収されるのが原則。
- 1031交換をする場合、事前に**源泉の減額・免除の申請(Form 8288-B)**を出すことができる。審査に時間がかかるため、売却の計画に余裕を持つ。
- 精算には米国の申告(1040-NR)とITINが必要(ITINと申告)。
相談するとき
米国側は1031交換に慣れた米国の会計士(CPA)と適格仲介者、日本側は海外不動産に慣れた税理士の両方に、同じ資料を見せて相談します。片方の国だけで判断すると、もう一方で思わぬ課税が生じることがあります。
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よくある質問
日本に住んでいても1031交換は使えますか?
米国の制度としては、非居住外国人でも条件を満たせば使える場合があります。ただし日本に住む人は、米国の不動産の売却益も日本で譲渡所得として申告します。日本には米国の1031交換に当たる海外不動産の買い替えの特例がないため、日本での課税は先送りされないのが原則です。税理士に確認してください。
出典・参考
- IRS — Like-Kind Exchanges Under IRC Section 1031(Fact Sheet)(2026-09-23 参照)
- IRS — FIRPTA Withholding / Form 8288-B(2026-09-23 参照)
- 国税庁 タックスアンサー No.3560 居住者が海外の不動産を売却した場合の課税関係等(2026-09-23 参照)
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