フィリピンの住宅価格指数(RPPI)4〜6月期は全国で前年比0.4%上昇、指数開始以来もっとも鈍い伸び。首都圏は5.2%上昇、首都圏外は2.7%下落で初のマイナス(フィリピン中央銀行)
フィリピン中央銀行(BSP)が2026年9月25日に公表した住宅価格指数(RPPI)2026年4〜6月期の要約です。全国は前年比0.4%上昇・前期比0.1%上昇で、2019年の指数開始以来もっとも鈍い伸びでした。マニラ首都圏は前年比5.2%上昇、首都圏外は2.7%下落で初の前年比マイナス。コンドは全国で6.0%上昇、住宅(戸建て等)は4.1%下落。住宅ローン件数、ウエイト、次回公表日(12月23日)と読み方を整理します。
執筆 編集部

この記事は、フィリピン中央銀行(BSP)の発表(一次情報)を要約したものです。
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas、BSP)は2026年9月25日、住宅価格指数(Residential Property Price Index、RPPI)の2026年4〜6月期の報告書を公表しました。全国の指数は前年同期比0.4%上昇・前期比0.1%上昇で、BSPは「2019年1〜3月期に指数を始めてから、もっとも鈍い前年比の伸び」としています。
マニラ首都圏(NCR)は前年比5.2%上昇と伸びが続いた一方、首都圏外(AONCR)は前年比2.7%下落で、指数開始以来はじめて前年比でマイナスになりました。
発表の内容
地域別
| 地域 | 前年比 2025年4〜6月期 | 前年比 2026年1〜3月期 | 前年比 2026年4〜6月期 | 前期比 2025年7〜9月期 | 前期比 10〜12月期 | 前期比 2026年1〜3月期 | 前期比 2026年4〜6月期 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全国 | 7.5% | 4.5% | 0.4% | −3.8% | −1.3% | 5.6% | 0.1% |
| マニラ首都圏(NCR) | 2.4% | 3.5% | 5.2% | −0.8% | −2.0% | 10.4% | −2.0% |
| 首都圏外(AONCR) | 11.5% | 5.7% | −2.7% | −5.9% | −0.7% | 2.5% | 1.6% |
| 周辺6州(Balance GMA) | 13.2% | 9.7% | −3.0% | −6.1% | 0.2% | 4.3% | −1.2% |
| セブ都市圏 | 11.5% | 9.4% | −0.2% | −8.0% | 4.6% | 1.3% | 2.4% |
| ミンダナオ2都市圏 | 7.7% | 1.3% | 2.1% | −0.9% | −1.0% | 1.4% | 2.7% |
| その他の地域 | 8.8% | −4.7% | −5.3% | −6.4% | −5.8% | −1.9% | 9.5% |
出典:BSP「RPPI Report 2nd Quarter 2026」Figure 1a・1b。マイナスは下落。周辺6州はバタンガス、ブラカン、カビテ、ラグナ、パンパンガ、リサール。
BSPは、首都圏外の下落は広い範囲に及び、その他の地域が下落を主導したこと、周辺6州が初めて前年比で下落し、首都圏外の指数に占める割合が大きいため全体に影響したことを挙げています。同時に、首都圏外は前期比では1.6%上昇しており、前年比のマイナスには前年の水準が高かったこと(ベース効果)も含まれる、としています。
種類別(コンドと住宅)
| 区分 | 前年比 2025年4〜6月期 | 前年比 2026年1〜3月期 | 前年比 2026年4〜6月期 | 前期比 2026年1〜3月期 | 前期比 2026年4〜6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全国・コンド | −0.2% | 4.6% | 6.0% | 11.1% | −1.5% |
| 全国・住宅 | 13.1% | 3.9% | −4.1% | 0.8% | 1.7% |
| 首都圏・コンド | −2.2% | 3.7% | 7.4% | 13.2% | −1.9% |
| 首都圏・住宅 | 14.3% | 1.3% | −3.1% | 0.8% | −2.5% |
| 首都圏外・コンド | 6.2% | 8.4% | 3.4% | 7.1% | −0.8% |
| 首都圏外・住宅 | 12.6% | 4.6% | −4.5% | 0.8% | 2.5% |
出典:同 Figure 2a〜2c。「住宅」は戸建て、タウンハウス、二戸一(デュプレックス)、アパートを含む。
コンドは前年比で4四半期続けて上昇し、首都圏・首都圏外のどちらも上がりました。住宅は初めて前年比で下落し、BSPは「住宅(戸建て等)の弱さは地域を問わず広がっている」と表現しています。ただし、前期比ではコンドが下落(全国−1.5%)、住宅が上昇(全国+1.7%)と、前年比とは逆の向きです。前の四半期にコンドが大きく反発していた(首都圏で前期比13.2%上昇)反動と読めます。
住宅ローンの件数
| 区分 | 件数の前年比 2026年4〜6月期 | 件数の前期比 2026年4〜6月期 |
|---|---|---|
| 全国・全種類 | 3.1% | 7.2% |
| 首都圏・全種類 | 11.0% | 13.2% |
| 首都圏外・全種類 | −0.1% | 4.8% |
| 全国・コンド | 18.1% | 22.8% |
| 全国・住宅 | −6.8% | −2.9% |
| 周辺6州・コンド | 65.5% | 87.5% |
| セブ都市圏・全種類 | −8.1% | 12.4% |
| ミンダナオ2都市圏・全種類 | −17.0% | −1.3% |
出典:同 Figure 3a〜3c。
指数の元になる住宅ローンの件数は、全国で前年比3.1%増でした。前の四半期(2026年1〜3月期)は前期比23.9%減と大きく落ち込んでいましたが、4〜6月期は前期比7.2%増と持ち直しています。コンドのローンは全国で前年比18.1%増、周辺6州では65.5%増と大きく伸びました。一方、住宅のローンは全国で前年比6.8%減です。
指数の中身(ウエイトとローンの内訳)
| 項目 | 2026年4〜6月期 |
|---|---|
| 指数のウエイト:コンド/住宅 | 46.3%/53.7% |
| 指数のウエイト:首都圏と周辺6州の合計 | 75.6% |
| ローン件数の内訳:コンド/住宅 | 45.3%/54.7%(戸建て35.9%、タウンハウス17.8%、二戸一0.8%) |
| ローン件数の地域別 | 周辺6州42.4%、首都圏30.7%、その他の地域15.4%、セブ都市圏6.6%、ミンダナオ2都市圏4.9% |
| ローンの対象 | 新築79.6%、中古20.0%、差し押さえ物件0.4% |
出典:同 Figure 5・6。ウエイトは前年の取引額の割合に基づく。
読むときの注意
- この指数は、銀行が実行した住宅ローンの取得価格から作られています。現金購入、開発会社への分割払い、社会住宅は入りません。外国人の現金購入は反映されにくいと考えて読みます(RPPIの読み方)。
- セブ都市圏(ローン件数の6.6%)とミンダナオ(4.9%)は件数が少なく、四半期の数字が振れやすい区分です。その他の地域の前期比9.5%上昇も、その前の3四半期がマイナスだった後の数字です。
- 前年比と前期比が逆の向きを示すときは、その前の四半期に何が起きたかを見ます。今回はコンドで「前年比プラス・前期比マイナス」、住宅で「前年比マイナス・前期比プラス」が同時に出ています。
投資家にとっての意味(編集部)
- 全国の数字はほぼ横ばい、中身はばらばら:首都圏のコンドは前年比7.4%上昇、首都圏外の住宅は4.5%下落です。「フィリピンの不動産は上がっている/下がっている」という一括りの説明は、この報告書の表と合いません。検討先の地域と種類の行を見ます。
- コンドのローンは増えている:全国で前年比18.1%増、首都圏外では29.0%増です。銀行融資でコンドを買う動きが戻っていることを示しますが、価格の前期比はマイナスでした。取引が増えても価格が上がるとは限らない、という組み合わせです。
- 周辺6州の住宅の弱さ:カビテ、ラグナ、ブラカンなど首都圏周辺の州は、指数のウエイトが大きい区分です。この区分の住宅が前年比で下落に転じたことが、全国の数字を押し下げました。周辺州の戸建てを検討する場合は、次の報告書(7〜9月期)で下落が続くかを見ます。
次回の公表は2026年12月23日(7〜9月期)の予定です。報告書はBSPのRPPI公表ページから四半期ごとにPDFで読めます。
出典
- Bangko Sentral ng Pilipinas「Residential Property Price Index Report — 2nd Quarter 2026」(2026年9月25日公表)
- Bangko Sentral ng Pilipinas — RPPI 公表ページ、Advance Release Calendar、Technical Notes
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よくある質問
「首都圏外が前年比マイナス」は、地方のコンドが下がったということですか?
違います。首都圏外のコンドは前年比3.4%上昇で、下がったのは住宅(戸建て・タウンハウス等)のほうです(前年比4.5%下落)。首都圏外の指数は住宅のウエイトが大きいため、住宅の下落が地域全体の数字を押し下げました。コンドと住宅は分けて読みます。
前期比が0.1%で前年比が0.4%なら、価格はほぼ横ばいと考えてよいですか?
全国の指数としては、この四半期はほぼ横ばいです。ただし地域と種類でばらつきが大きく、首都圏のコンドは前年比7.4%上昇、首都圏外の住宅は4.5%下落です。全国の数字だけで自分の検討先を判断せず、報告書の地域別・種類別の表を見ます。また、この指数は銀行の住宅ローンで買われた住宅だけを対象にしているため、現金や開発会社への分割払いで買われた物件は入っていません。
出典・参考
- Bangko Sentral ng Pilipinas「Residential Property Price Index Report — 2nd Quarter 2026」(報告書PDF、2026年9月25日公表)(2026-09-25 参照)
- Bangko Sentral ng Pilipinas — Residential Property Price Index(RPPI)公表ページ(2026-09-25 参照)
- Bangko Sentral ng Pilipinas — Advance Release Calendar(RPPI 7〜9月期は2026年12月23日公表予定)(2026-09-25 参照)
- Bangko Sentral ng Pilipinas「Technical Notes on the Hedonic Residential Property Price Index (RPPI)」(2026-09-25 参照)
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