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解説マレーシア

マレーシアの住宅建設統計の読み方

執筆 編集部

建設中の集合住宅とクレーン、図面、ヘルメットのイラスト
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工事額と住宅の供給戸数

マレーシアで「建設が増えた」と聞いたときは、工事の金額なのか、住宅の戸数なのかを分けて確認します。統計局DOSMの2026年4〜6月期の建設工事額は、前年同期比8.8%増でした。住宅部門も8.7%増えましたが、新築住宅の完成戸数が同じ割合で増えたという意味ではありません。

この統計が測るのは、その四半期に行われた工事の金額です。新築のほか、修繕、改装、維持管理の工事も含みます。将来の競合住宅を調べる場合は、所在地や完成時期、戸数を別の資料で補う必要があります。

住宅は建設全体の一部

部門2026年4〜6月期の工事額全体に占める割合前年同期比
住宅109億リンギ22.8%8.7%増
非住宅140億リンギ29.3%13.3%増
土木167億リンギ35.0%2.7%増
専門工事62億リンギ12.9%17.6%増
合計478億リンギ100.0%8.8%増

出典:DOSMの8月13日発表文。金額は同資料の丸めた値を億リンギに換算。専門工事には、整地、配管・空調設備、電気設備などの工事が含まれます。

最も金額が大きい部門は土木です。道路や鉄道、公共設備の工事額を含むため、建設全体の伸びを住宅市場の伸びとして使うと対象を取り違えます。専門工事にも独立した区分があるので、住宅部門の値を「住まいに関連する全工事の費用」とみなすことも避けます。

州別に住宅部門を見る

原表の表2は、工事の所在地と部門を組み合わせています。下表はその一部で、会社の本社所在地による集計ではありません。

州・地域全部門の工事額うち住宅うち非住宅
セランゴール121.8億リンギ31.9億リンギ48.0億リンギ
ジョホール93.7億リンギ22.8億リンギ35.1億リンギ
連邦直轄領51.8億リンギ21.4億リンギ13.2億リンギ
ペナン28.5億リンギ7.9億リンギ9.0億リンギ

出典:DOSM報告書の表2、本文16ページ。対象は2026年4〜6月期。原表の千リンギを億リンギへ換算し、小数第1位に丸めました。全部門には表に載せていない土木と専門工事も含みます。

ジョホールの全部門93.7億リンギのうち、住宅部門は22.8億リンギです。州全体の建設額が大きいことだけでは、コンドの供給の多さは分かりません。住宅部門も戸建てとコンドを分けた表ではなく、州内の特定地区の集計でもありません。

連邦直轄領は、クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンの合計です。51.8億リンギを「クアラルンプールの工事額」として引用しないようにします。

完成度の表が示すもの

表4は、工事の完成度別にその四半期の工事額を示します。住宅部門の「完成度91〜100%」は、原表で2,012,140千リンギ、約20.1億リンギです。

この金額は、完成間近の区分に属するプロジェクトで行われた工事額です。「近く20.1億リンギ分の住宅が販売される」「完成住宅の販売総額が20.1億リンギ」という意味ではありません。完成度100%の住宅だけを取り出した数値でもありません。

工事の完成度が高くても、いつ引き渡されるか、このうち何戸が賃貸に出るかは表4では分かりません。賃貸の競合を調べるなら、建物ごとの引渡し予定と実績、戸数、既存の募集住戸を照合します。

不動産統計との使い分け

知りたいこと参照する資料混同しない点
期間内の工事の金額DOSMの建設統計販売額、完成戸数とは異なる
完成しても売れていない新築NAPICの市場状況報告賃貸募集中の住戸数とは異なる
住宅価格の動きNAPICの住宅価格指数工事費の変化とは異なる
特定地区の賃貸の競合建物別の募集・成約記録州全体の工事額からは求められない

NAPICは財務省の国家不動産情報センターです。売れ残り住宅の統計では、住宅とサービスアパートメントの区分も確認します。DOSMの部門名だけを手掛かりに、二つの統計を同じ範囲とみなして足し引きしないようにします。

価格については住宅価格指数の読み方、既存住宅との競合は売却や賃貸が進まないときの確認点が関連します。

原表の確認方法

DOSMの「Construction Statistics, Second Quarter 2026」を開き、「Publications」または「Data」から原表を入手します。表2で州・部門、表4で完成度別の金額を確認できます。OpenDOSMのダッシュボードでは、発注者の区分や部門の選択状態も一緒に確認します。政府発注だけの表示を、公共・民間全体の値と取り違えないためです。

単位は原表の「RM ‘000」、つまり千リンギです。億リンギに直すときは、原表の値を100,000で割ります。報道の丸めた金額から構成比を計算し直すと、公表された割合とずれる場合があります。

調査の対象

調査はCIDB(建設産業開発庁)に登録された50万リンギ以上のプロジェクトを持つ元請けを対象とします。元請けは下請けが実施した分も含めて回答し、同じ工事の二重計上を避ける仕組みです。小規模な工事も含む国内すべての改修費を集計したものではありません。

定義は技術注記の第1・4・7〜9項、数値は2026年4〜6月期の報告書と発表文で確認しました。8月13日公表の統計で、10月の工事状況を示す値ではありません。参照日は2026年10月15日です。

本記事は情報提供を目的としています。個別の物件の購入・売却を勧めるものではありません。

よくある質問

住宅建設の工事額が8.7%増えたら、新築戸数も8.7%増えていますか?

そうとは限りません。工事額は期間内に行われた工事の金額で、完成戸数ではありません。修繕や改装も含まれます。

連邦直轄領の値はクアラルンプールだけですか?

原表ではクアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンの合計です。クアラルンプールだけの値として使うことはできません。

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補足情報

DOSMの建設工事額は、新築だけでなく修繕や改装も含みます。2026年4〜6月期の部門別・州別の原表から、住宅供給の戸数や販売額との違いを説明します。

出典・参考

  1. DOSM:Quarterly Construction Statistics, Second Quarter 2026、表2・表4(2026-10-15 参照)
  2. DOSM:2026年4〜6月期建設統計の発表文(8月13日)(2026-10-15 参照)
  3. DOSM:同統計のTechnical Notes、対象・所在地・工事額の定義(2026-10-15 参照)
  4. OpenDOSM:Construction Statistics、公開ダッシュボード(2026-10-15 参照)