海外不動産は個人と法人(会社)のどちらで持つ?(2020年の税制改正の影響、法人で持つ費用、出口と相続、現地の規制)
海外不動産を日本の法人で持つか個人で持つかは、税だけでなく、会社の維持費、利益の取り出し方、売却・相続、現地の外国法人への規制で考えます。2020年の税制改正(個人の海外中古建物の赤字の扱い)の影響、法人の長所と短所、判断の目安を整理します。
執筆 編集部

この記事で出てくる言葉
| 言葉 | ざっくりいうと |
|---|---|
| 資産管理会社 | 不動産などの資産を持つために作る会社 |
| 国外中古建物の特例(制限) | 2021年分から、個人の海外中古建物の減価償却の赤字をほかの所得と相殺できなくなった制度 |
| 法人税 | 会社の利益にかかる税 |
| 役員報酬 | 会社から役員に払う給料。会社の利益を個人に移す方法の一つ |
| 外国子会社合算税制 | 海外の低税率の子会社の所得を日本の親会社・個人の所得に合算する制度 |
短い答え
**税だけでは決まりません。**法人で持つと、2020年の税制改正(個人の海外中古建物の赤字の制限)の対象外になり、法人の他の事業の黒字と相殺できます。一方で、会社の維持費、利益を個人に移すときの税、現地の外国法人への規制、売却・相続の扱いが変わります。すでに事業を行う会社があるか、どのくらいの規模で持つかで判断が分かれます。
個人と法人の違い
| 項目 | 個人 | 日本の法人 |
|---|---|---|
| 海外中古建物の赤字 | 他の所得と相殺できない(2021年分から) | 法人の他の所得と相殺できる |
| 税率 | 累進(所得税+住民税) | 法人税の税率(規模で異なる) |
| 維持費 | なし | 会計・申告の費用、住民税の均等割など |
| 利益の取り出し | そのまま個人の所得 | 役員報酬・配当で個人に移す(そこで課税) |
| 売却益 | 保有期間で税率が変わる(長期・短期) | 法人の利益として課税 |
| 相続 | 物件そのものを相続 | 会社の株式を相続(評価のしかたが違う) |
| 現地の手続き | 個人の名義で登記 | 法人の書類(登記簿・定款の翻訳・認証)が必要 |
現地の規制(国別の例)
| 国 | 外国法人による取得 |
|---|---|
| タイ | コンドの外国人枠(49%)に外国法人も含まれる。土地は持てない |
| フィリピン | コンドの外国人枠(40%)の対象。法人の書類の認証が必要 |
| ドバイ | 指定エリアで外国法人の取得が認められる場合があるが、法人の種類に条件 |
| 米国 | 日本の法人でも取得できる。米国ではLLC(詳しく)を使うことが多い。外国法人には支店利益税などの論点 |
判断の目安
- すでに事業を行う法人がある:法人の他の所得と相殺できる点、経費の管理のしやすさから、法人で持つ意味が出やすい。
- 物件が1件・金額が小さい:会社を新しく作る費用と手間が、税の差を上回ることが多い。
- 相続を考えている:株式での承継になる点を、相続税の評価とあわせて税理士に確認する。
- 海外に会社を作る:外国子会社合算税制など別の論点があり、日本の法人より複雑になる。
相談するとき
税理士に、物件の予定価格・家賃・ローン・保有予定期間・既存の法人の有無・家族構成を伝えると、個人と法人の比較を具体的に出してもらえます。
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よくある質問
法人で買えば、減価償却の赤字をほかの所得と相殺できますか?
2021年分から個人に適用された国外中古建物の赤字の制限は、法人には適用されません。法人では減価償却の赤字をその法人の他の事業の黒字と相殺できます。ただし個人の給与所得と相殺できるわけではなく、法人を維持する費用もかかります。具体的な判断は税理士に相談してください。
出典・参考
- 国税庁 タックスアンサー No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算(国外中古建物の特例)(2026-09-23 参照)
- 国税庁 法人税の概要(2026-09-23 参照)
- 国税庁 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)(2026-09-23 参照)
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